条例施行の奈良県警「ネット上の検挙難しい」
奈良県は、13歳未満の子どもを対象に単純所持禁止を盛り込んだ「子どもを犯罪の被害から守る条例」を2005年10月1日に施行した。しかし、県警少年課の次席は、ネット上での犯罪摘発は難しいと取材に明かす。
「被疑者の家に家宅捜索に行って、パソコン上に児童ポルノらしき記録が残っていたとしても、即検挙はできないです。遠隔操作事件があってからは、よけい捜査を慎重にやらざるを得なくなっており、ネット上の犯罪は積極的に検挙していません」
県警では、12年末までに計15件の児童ポルノ事件を条例違反で検挙した。しかし、県警サイバー室によるネット上の立件はなく、ほとんどがDVDを他人から譲り受けたケースだった。
05年に初めて検挙した事件では、容疑者が児童ポルノとはっきり分かる「関西援交」シリーズのDVDを購入していた。また、08年には、携帯電話のマイクロSDカードに8枚の画像が見つかったケースもあったが、これは本人が事実関係を認めたうえ、直前にスカート内盗撮をして通報されたケースだった。
ネット上では、児童ポルノ画像について「年齢ってどうやって確認するの?」との疑問も出ている。
この点について、県警では、13才未満であるかは小児科医に鑑定してもらっていると明かした。第一次性徴などを見るタナー法という判定基準があるという。ただ、13歳前後は分かりにくいため、明らかに幼児と分かるケースだけに絞って立件しているとした。
とはいえ、ネット上では画像がコラージュなどの加工をされていることも多い。いずれにせよ、ネット犯罪の捜査は至難の技のようだ。