フィルターの設置、完成のめどは立っていない
ひとつが、活断層の問題だ。新基準では、活断層の評価対象が従来の「13万~12万年前(後期更新世)以降」から「40万年前(中期更新世)以降」にまで大幅に拡大される見通しだ。柏崎刈羽原発では、原子炉直下の断層が約24万年前以降に動いたのではないかと指摘されており、これが活断層だと判定されれば、その上にある原子炉は再稼働ができないばかりか、廃炉に追い込まれる可能性もある。東電としてはなすすべがなく、いわば「まな板の上のコイ」状態だ。
もうひとつが、フィルターベントの問題だ。福島第1原発では格納容器内の圧力を下げるベント(排気)の装置に放射性物質を濾過する機能がなく、事前に住民を避難させる関係から作業に手間取ったとの指摘が根強い。このため、新基準ではフィルター付きベント装置の設置を求められる見通しだ。原子炉建屋の隣にフィルター装置を建設して、建屋の排気を濾過した上で排出する。ところが、フィルターの設置工事は13年1月に始まったばかりで、完成のめどは立っていない。建設場所はすでに決定しており、基礎部分の工事は始まっているというが、東電の広報担当者によると、
「設備が壊れてしまっては仕方ないので、配管を含めてしっかりとした耐震性がなければならない。どういう形で補強するか評価を進めているところ」
と、設計すら固まっていないのが現状だ。