人気ゲーム「シムシティ」が発売直後からサーバーの不具合が発生し、利用できなくなった。購入者からは運営側の対応のまずさを批判する声が出ている。
「シムシティ」を開発、販売するエレクトロニック・アーツ(EA)ジャパン社はウェブサイト上に、責任者の謝罪コメントを掲載した。サーバー増強を急ぐとともに、利用者に同社のゲームを1本無料で提供するという。
「想定が甘かったことは認めます」
「シムシティ」は、プレーヤーが「市長」となって都市を建設するシミュレーションゲーム。過去にも数作が出されており、人気は高い。最新版は米国で2013年3月5日に、日本などでも7日に発売された。
ところが発売早々、トラブルが起きた。今回のシムシティはオンライン版で複数のプレーヤーと遊べるのが特徴。サーバーに接続していないと遊べないのだが、肝心のサーバーが不安定になったのだ。EAジャパンは公式フェイスブックページやツイッターで「緊急メンテナンスを実施」と告知し、利用者におわびした。続けて「非常に多くのアクセス」により正常にゲームができない状態だと説明した。利用者からは「サーバー負荷の見積もりを誤ったのでは」「オフラインで遊べるようにしてほしい」との声がフェイスブックに書き込まれた。
翌8日になっても、事態は解決しない。EAジャパンは、サーバー増設作業を進めていると説明。また責任者のルーシー・ブラッドショー氏が「シムシティ」公式ウェブサイト内のブログで状況を報告した。「想定以上のアクセス集中」と、「アクセスが長時間継続した」ことがサーバーの不安定化を引き起こし、「想定が甘かったことは認めます」と陳謝。続けて、サーバー容量を増やして対応にあたっており、「もう少しで完全復旧と言えるところにまできました」と釈明した。
購入者に対しては「おわび」の意向を示すためか、同社のゲームを1本無料で提供するという。これにはインターネット掲示板やツイッターで、どんなゲームソフトがもらえるかとの期待や「太っ腹」と評価する声も上がったが、それでも復旧の遅れにいらだつ人も少なくない。
騒動は海外でも起きている。英BBCニュースは3月8日、オンライン通販大手の米アマゾンが「シムシティ」の販売取り扱いを一時停止したと伝えた。数時間で解消したようだが、販売ページには今も顧客に向けて「ゲーム用サーバー接続で問題が起きています」という注意書きが掲載されたままだ。
「発売初日からまともに遊べない」と苦情
日本のアマゾンにも、同様の注意喚起が出されている。商品に対する顧客レビューを見ると、相当厳しい。障害発生当初、「発売初日からまともに遊べる状態でない」「対応が最悪。トラブル発生時に必須の情報がまったくない」「オンライン必須のゲームで、まったく接続できないのは致命的」と非難が集中した。ただ3月10日午後になると、まだサーバーが不安定ではあるが比較的アクセスしやすくなってきた、と改善を認める声も出てきた。
3月9日(日本時間10日午後)には責任者のブラッドショー氏が、公式ブログで再度サーバー増強に関して報告した。不具合の減少とアクセス可能な人数を増やす作業を進めているが、まだ完全復旧とは言えないようだ。また新設したサーバーは高速アクセス設定をしているため、「シムシティ」発売当初から稼働しているサーバーにも同様の設定が必要になり、メンテナンスをしなければならないと改めて理解を求めた。