スマホゲーム「パズドラ」絶好調 開発方針は「コンプガチャ」と対照的

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   スマートフォン(スマホ)向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)が大人気だ。配信開始から1年で900万ダウンロード(DL)を突破した。

   「パズドラ」の場合、無料で十分楽しめるのが特徴だ。有料アイテムの購入をあおっている仕組みだと批判された「コンプリートガチャ」を「反面教師」にしている部分がありそうだ。

スマホにDLすると簡単な登録だけですぐに始められる

初心者でもすぐ始められるゲーム
初心者でもすぐ始められるゲーム

   「パズドラ」は2012年2月、米アップルのスマホ「アイフォーン(iPhone)」向けゲームとして無料配信が始まった。今日では米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載端末や、米アマゾンが手がけるタブレット型端末「キンドル・ファイア」にも提供している。iPhoneやアンドロイド機向けの大ヒット商品となった。

   ゲームは、「モンスター」同士でチームを編成して冒険に出かける設定だ。画面上にあるドロップ(パズル)を色別にそろえることで敵を攻撃し、モンスターをレベルアップさせながら次のステージに進んでいく。従来の「パズルゲーム」と「ロールプレイングゲーム」それぞれの要素が込められた。スマホにDLすると簡単な登録だけですぐに始められる。最初はゲームの手順が示されながら進んでいくため、初心者でも手軽に遊べる。

   開発を手がけたゲーム会社、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの躍進が目覚ましい。新興企業向け株式市場ジャスダックでの同社株価はここ最近、連日のように高値を更新。2013年3月5日には、終値で時価総額が東証1部上場のソーシャルゲーム大手、ディー・エヌ・エー(DeNA)を上回った。

   ガンホーの森下一喜社長兼最高経営責任者(CEO)は、2013年2月25日付「東洋経済ONLINE」のインタビューで、パズドラがヒットしたのは「運」だと述べた。一方で配信のタイミングがよかったとして、「カードバトルと呼ばれるソーシャルゲームで単に絵柄を変えたようなものばかりが出てきて、ユーザーの中にも嫌悪感が出ていた状況だった」と振り返る。

   ゲームは「努力することが大事」とのこだわりも持つ。カードバトルゲームでガチャを回してカードを獲得するにはお金を使うが、「それは努力ではない」と断じる。「達成する喜びや感動を与えるゲームを作りたい」とパズドラ開発に当たったという。

ゲームとして面白ければ射幸心あおらず楽しんでもらえる

   パズドラでは、課金の要素が少ない。有料アイテムが限られており、もちろん購入すればゲームの進行上有利になるが、無料のままでも十分楽しめる。これは開発者の意向が強くはたらいているようだ。

   パズドラのプロデューサーを務めるガンホーの山本大介氏は、2012年8月に開かれたゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2012」で、開発方針の一端を明かした。ゲームとしての面白さを追求すれば、過度なソーシャル性や「射幸性」に頼らず楽しんでもらえるという。

   また当初は有料アプリでの提供を想定していたが、利用者が納得して購入するにはゲームとして高いクオリティーが必要だと考え、無料アプリと変更されてからもその意思を貫いた。最初から無料配信を念頭に置いた場合、ゲームの質よりも「DLされた後にいかに利用者にアイテム購入を促すか」に焦点を当ててしまう恐れがある、というのだろう。

   ソーシャルゲーム業界は2012年、「コンプガチャ」問題で揺れた。これはカードバトルなどで、複数アイテムをそろえると希少アイテムを手に入れられる仕掛けだ。何度もガチャを回してアイテムを得ようと試み、結果的に課金の額が増えていく「被害」も報道された。消費者庁はコンプガチャが景品表示法に違反する可能性を指摘し、ソーシャルゲーム大手各社が自主規制に乗り出した。

   ゲーム内課金が限定的なパズドラは、利用者の射幸心をあおってアイテム購入を増やすコンプガチャの言わば「アンチテーゼ」にもみえる。森下社長は「東洋経済ONLINE」で、マネタイズは意識していないと発言。ただ「ゲームのロイヤルカスタマー(固定客)をつくりたいという思いはあります」と、そのねらいを説明した。

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