ゲームとして面白ければ射幸心あおらず楽しんでもらえる
パズドラでは、課金の要素が少ない。有料アイテムが限られており、もちろん購入すればゲームの進行上有利になるが、無料のままでも十分楽しめる。これは開発者の意向が強くはたらいているようだ。
パズドラのプロデューサーを務めるガンホーの山本大介氏は、2012年8月に開かれたゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2012」で、開発方針の一端を明かした。ゲームとしての面白さを追求すれば、過度なソーシャル性や「射幸性」に頼らず楽しんでもらえるという。
また当初は有料アプリでの提供を想定していたが、利用者が納得して購入するにはゲームとして高いクオリティーが必要だと考え、無料アプリと変更されてからもその意思を貫いた。最初から無料配信を念頭に置いた場合、ゲームの質よりも「DLされた後にいかに利用者にアイテム購入を促すか」に焦点を当ててしまう恐れがある、というのだろう。
ソーシャルゲーム業界は2012年、「コンプガチャ」問題で揺れた。これはカードバトルなどで、複数アイテムをそろえると希少アイテムを手に入れられる仕掛けだ。何度もガチャを回してアイテムを得ようと試み、結果的に課金の額が増えていく「被害」も報道された。消費者庁はコンプガチャが景品表示法に違反する可能性を指摘し、ソーシャルゲーム大手各社が自主規制に乗り出した。
ゲーム内課金が限定的なパズドラは、利用者の射幸心をあおってアイテム購入を増やすコンプガチャの言わば「アンチテーゼ」にもみえる。森下社長は「東洋経済ONLINE」で、マネタイズは意識していないと発言。ただ「ゲームのロイヤルカスタマー(固定客)をつくりたいという思いはあります」と、そのねらいを説明した。