快進撃テレビ朝日と対照的なフジ 凋落の一因は「現場への過剰介入」

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   テレビ朝日の快進撃が止まらない。2012年4月に開局以来初の視聴率月間3冠を獲得し、12年1年間の平均視聴率では、これも開局以来初の年間プライム(午後7~11時)トップとなる、平均視聴率12.5%を記録した。この好調を受け、13年4月の番組改編で、プライム帯のバラエティー番組の改編は行わない、と発表した。

   一方、フジテレビの視聴率は下がり続け、13年に入りとうとう民放4位となる週も出てしまった。いったいテレ朝とフジの違いは何なのだろうか。

テレ朝は4月のバラエティー番組改編はゼロ

   テレビ朝日は13年3月6日の番組改編発表の席上で、12年はプライムトップになり、年度ではプライムだけでなくゴールデン(午後7~10時)でもトップで推移している、と胸を張った。プライムタイムには「お試しかっ!」「ロンドンハーツ」「ビートたけしのTVタックル」「いきなり!黄金伝説。」「痛快!ビッグダディ」などが放送されている。

   また、全日帯も好調で、夕方の情報番組「スーパーJチャンネル」は平均視聴率が2ケタに乗り、当初苦戦していた朝の情報番組「モーニングバード」も、同時間帯トップに並ぶほどに成長した。この好調を維持するために改編はあまり行わず、特にプライム帯のバラエティー番組の改編はゼロで、各番組のブラッシュアップを図っていく方針を示した。

   苦しいのはフジテレビだ。12年から視聴率の低下は目に見えて大きくなり、13年に入るとビデオリサーチが発表した視聴率ベスト30にアニメの「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」しか入らないという週もあり、13年1月28日~2月3日の1週間はTBSにも抜かれ民放4位に転落した。過去30年間、視聴率3冠王の常連だったことを考えれば驚くべき変化だ。この2つの局は何が違っていたのだろうか。

   芸能評論家の肥留間正明さんによれば、この2局の勝負は地デジ化の時に決していたのだという。テレビのチャンネルのボタンはどの位置にあるか、新聞のラテ欄ではどの場所に掲載されるかで視聴者の選択に大きく影響するのは当然だから、テレ朝はそれを知っていて「真ん中」に強くこだわっていたが、フジにはそれが感じられず、危機感がなかった。

「つまりフジは思い上がっているし、視聴者をナメている、ということなんですね。フジは業界内の癒着でズブズブなのが透けて見えるし、それが地デジ化以降に制作された番組にも現れているんです」

フジの場合は何かと製作現場に口を出す

   フジは地デジ化以降、視聴率が取れなくなってきたことを焦り、数々の新番組を投入することになるが、放送されたのは過去の栄光に縋った二番煎じや、相も変わらぬお笑い芸人が主軸のもの。新しさは何もなく、合いも変わらずテレビ離れをしている若い層を狙ったものだった。

   テレ朝はフジに比べれば丁寧な番組作りをしていて、バラエティーもスポーツ中継も、大人がある程度納得できる番組作りを心がけてきた。「相棒」や、女優の米倉涼子を主演にしたドラマなどもじっくりと育て、キラーコンテンツが増えていることによって、視聴率に跳ね返ってきているのだという。

   実はテレ朝もフジも自身で番組制作することが難しく、制作会社に任せている。ただ、テレ朝は比較的自由に番組を作らせているが、フジの場合は何かと製作現場に口を出すため、現場はフジの顔色を伺いながら番組を作ることになる。オリジナリティーあるものが出来にくくなっているのはそのため、と指摘する。

「テレ朝のようなやり方で、現場が活気付き視聴率の取れる番組が出来るのなら、現在の映画会社のように制作は外部に任せ、テレビ局はそれを買って放送する、そういう仕組みになってしまうのもいいのかもしれません」
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