アングル的にうまく撮影できず敷地内に… 秋田放送記者は「悪質撮り鉄」と何も変わらない

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   「これじゃぁ、撮り鉄と同じ」――秋田県のテレビ局・秋田放送(ABS)の記者が撮影中に秋田新幹線を緊急停止させる「失態」を演じ、人々の冷たい視線を浴びている。

   何しろ時期が悪い。秋田新幹線は脱線事故からようやく運転を再開したばかり、しかも「撮り鉄」(撮影を趣味とする鉄道ファン)のマナー問題が議論を呼ぶ最中のトラブルだ。同社では社長が自らJR東日本に謝罪に赴くなど、平謝りに徹している。

ちょうど来た新型車両を撮影しようとして…

   2013年3月4日、秋田新幹線は2日起きた脱線事故から38時間ぶりに復旧し、始発から通常通りの運転を行っていた。秋田放送の話しによれば、その姿を撮影しようと同日朝、秋田放送報道部の記者はカメラを携え一人で、2日の脱線事故が起きた現場(大仙市)付近に赴いた。撮影した映像は、昼・夕方などのニュース番組で使用する予定だった。

   問題の場所では秋田新幹線は在来線と並行して地上を走っており、高架の区間とは違い線路に容易に近づくことができる。記者は居合わせた他社のカメラマンとともに、線路脇の比較的近い地点から、脱線を起こしたのと同じ車種の「こまち」などが通過する様子をカメラに収めた。この際は、特に問題は起きなかった。

   他社の取材班が現場を一時離れ、秋田放送の記者だけがその場に残っていたところ、時刻表にない列車がその場に姿を現した。16日の運行開始に向け、上り方向に試運転を行っていた新型車両「E6系(スーパーこまち)」だった。

   「運転再開」というニュースの趣旨からすれば、「新型」の映像は決して必要なかった。しかし記者はこのE6系もカメラに捉えようと、JR東日本の敷地内である線路脇の電柱そばにまで接近した。

   秋田放送が行った聞き取りによれば、敷地外からはアングル的にうまく撮影できず、さらに「さっきまで他社も同じような場所で撮影をしていた」こともあり、記者は「大丈夫だろう」と思って踏み込んだという。

   しかし現場の写真を見ればわかるが、電柱は線路からかなり近い位置に設置されている。そもそも鉄道敷地内にみだりに立ち入ることは、鉄道営業法で禁じられている。E6系の運転手は「危険」と判断、急ブレーキをかけた。午前9時42分のことだった。

   緊急停止でE6系はその場に17分足止めを食い、また直後の下り「こまち13号」も3分遅れるという影響が出た。

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