痛みを分かち合いながら
仮設への訪問を始めて、心を開いて話してもらえるようになるまで2~3ヵ月、それぞれが抱える問題や悩みが見えてくるまで1年近くかかりました。2012年の秋頃からは、同じような悩みを持つ方々への集団カウンセリングを始めています。数十名の参加者が輪になって座り、1人ずつ自分が抱えている悩みや問題を話していきます。
「夜寝てたらさぁ、"おかあさーん"って声がした気がして、ばっと目を覚ましたんだ。壁に飾ってる娘の遺影が目に入って、写真から呼ばれているのかなぁ、あの子どこかで骨になって、私のこと呼んでいるのかなと思うと眠れなくなって、夜中でも仮設出て探しに行くんだ」
「うちは、6年生だったんだ」
「そうかぁ、うちの子は3年生だったよ」
「こないだお墓立ててさ、何も残ってないから、髪の毛を結んでいたゴムを、納骨代わりにいれたんだよ」
子どもを亡くした親の「助けられなかった」「自分だけが生き残ってしまった」という後悔や罪悪感は深く、決して消えることはありませんが、同じ苦しみを抱えているからこそ、自分が本当に欲しい言葉を掛け合うことができるのです。
「だってしょうがないべ。母親の私が泣いてばっかりだったら、ほかの子どもがかわいそうだろ」
「うちは、もうみんないないから、一人でも残っているだけいいんだよ」
「そうか、うちはまだ生きている子がいるから、まだいいのかな」
「そうだよ。一緒に、とにかく、一緒に頑張っていくべ」
参加者同士が連絡先を交換し、自分たちで話をしたり、励まし合うことができると、それぞれに「変わらなきゃ、前に進まなきゃ」という意思が生まれ、薬やお酒に頼らなくても、生活を送れるようになっていきます。集団カウンセリングの効果は非常に大きいです。
AARは仮設住宅で暮らす方々の交流の場となるようなイベントの開催や、手作りバッグやチョコレートと共に全国から寄せられた応援メッセージを被災者にお届けする活動も行っています。
「落ち込んでいたけど、イベントに来て元気が出たよ」と笑う方。
メッセージを読んで、「日本のどこかで誰かが応援してくれているなら、私、生きていかないとね」と涙を流す方。
人を助けられるのは、薬やお酒ではなく、やはり人だと感じています。
横山は、3月9日開催の活動報告会にも登壇します。ぜひ、お越しください。
>>3月9日 「震災から2年報告会」―これからも東北とつながるために
AAR Japan[難民を助ける会]
1979年、インドシナ難民を支援するために、政治・思想・宗教に偏らない市民団体として日本で設立された国際NGOです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、地震発生当日より活動を開始。宮城県仙台市と岩手県盛岡市に事務所を構え、緊急・復興支援を行っています。
活動にあたっては、特に支援から取り残されがちな障害者や高齢者、在宅避難者、離島の住民などを重点的に支援しています。食料や家電などの物資の配布、炊き出し、医師と看護師による巡回診療など、多面的な活動を続けています。
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