テルマエ・ロマエ「興収58億で作家の取り分100万」騒動 映画製作者・出版社と作者間の問題浮き彫りに

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イタリア人の夫から「ノーギャラおかしい」指摘される

   今回の問題について、四宮氏からさらに詳しく話を聞くことができた。

   四宮氏は映画公開の約4か月後、12年8月頃からヤマザキさんの代理人を務めるようになった。それまで契約交渉や契約管理は全てヤマザキさん1人で行っていたが、手が回らなくなり、専門家に依頼することになったという。

   ヤマザキさんの夫はイタリア人の文学研究者で、現在2人は米シカゴに住んでいる。映画化にともなってヤマザキさんが多忙になり、家族と過ごす時間が減ったことで家族の中で問題になったことがあった。「それでいくらもらっているのか」と聞かれ、原作使用料の額や番宣はノーギャラという話になり、「それはおかしいだろう」となったそうだ。

   四宮氏が代理人になってからは、出版社と定期的に協議し、製作が決まっている映画「テルマエ・ロマエ」の続編の原作使用料の取り決めや、1作目の原作使用料も含めた過去の契約の見直しについて話し合っているという。

   ちなみに、テレビドラマ・映画「海猿」シリーズの原作者である佐藤秀峰さんも、11年9月、ツイッターで原作使用料の問題点を指摘していた。

「一般論としてですが、マンガを原作に映像作品が作られた場合、原作者である漫画家に支払われる原作使用料の相場は以下の通りです。1時間テレビドラマであれば、20~30万円、映画であれば100~200万円。1クールドラマをやれば200~300万円です」
「視聴率や興行収入に応じて、成功報酬が支払われる例は少なく、1回原作使用料を受け取ってお終いというのがほとんどです」
「出版社は『例え原作使用料が安くても、映像化が宣伝になり、単行本の売り上げが伸びるので、損を飲んで得を獲れ』的なことを、漫画家に対して言います」

   佐藤さんは現在、「ブラックジャックによろしく」など自身の作品の著作権を100%所有し、全話無料公開、商用・非商用を問わず2次利用完全自由という画期的な試みを行っている。

   一方、映画製作者サイドからすると。一般的に作品が「コケる」リスクが大きいこともあり、原作料は安くしておきたいというのが本音。出版社は映画化が宣伝になり、原作の売れ行きに貢献することから、値切られても応じざるを得ないのだという。

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