市民の多くは「仏像は対馬から盗まれた」
とはいえ韓国側が無関心であるわけでもないと、このジャーナリストは続ける。ある週刊誌は、仏像がどのような道のりをたどって対馬に行きついたかを検証する特集を組んだそうだ。もともと仏像を所有していたと主張する韓国の寺の言い分を全面的に支持する論調の地方紙もあるにはある。ただし「主要メディアがこのようなスタンスをとっているのではありません」。
一般市民はどう思っているだろうか。韓国人ジャーナリストは「両国間の微妙な問題で、市民感情をひとまとめにして言い表すのは難しいですが」と前置きしたうえで、「仏像は韓国でつくられたもので、どういった経緯で日本に渡ったかがはっきりしない」と考えている人が少なくないと推測する。そのため、裁判所の判決にあえて口を挟む必要性は感じていないようだ、と話す。
「日本にある韓国の文化遺産を取り戻そう」と主張する一部の市民グループは、声高に仏像をそのままとどまらせようとしているようだが、「多くの人々は『仏像は対馬から盗まれたもの』と理解しています」。