消去法で、リストラもなく、給料もいい、金融機関が残った?
もともと、金融機関には「堅実」なイメージがある。金融危機が去ってリストラもなく、給料もいい。加えて採用人数が多いことも、就活生には魅力だ。
金融機関の人気について、就活に詳しい大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が注目するのは、職種が多様化して、女性が働きやすくなった点だ。
金融機関では、かつては総合職と一般職しかなかったが、専門職や地域限定の総合職などが設けられるようになった。「最近はそういった職種が定着してきて、実際に職場に多くの先輩女性が働いています。そういった姿をみていて、結婚や出産、育児、復職後なども含め、自分がその職場でどうキャリアを積めばよいか、想像しやすいわけです」と話す。
また、「金融機関以外となると、たとえば営業職でも、本社とは別に販売子会社で採用選考を行いますが、金融機関は支店勤務でも本社が一括採用するのでブランドイメージが損なわれないと考えているようです」ともいう。
まだある。最も大きな要因は、「就活への親の介入にあります」と指摘する。「商社や航空会社、食品会社などにも、『就職したい』という学生はいます。しかし、商社は海外が危険だとか、メーカーは競争が厳しいとか、食品は営業職がキツイとか、いろいろと言われるうちに萎えてしまう」。結果的に金融機関しか残らないというわけだ。