朴大統領「被害者の立場、千年不変」と主張 韓国に「いつまで謝罪し続ければいいんだ」の声

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   韓国の朴槿恵大統領が日本に対して「加害者と被害者という立場は、千年過ぎても変わらない」と演説し、波紋を呼んでいる。

   「千年」というあまりに過大な表現に、日本国内では「いつまで謝罪し続ければいいんだ」などと憤る声も強い。「千年不変」の被害者だという韓国を相手に、果たして落としどころは見つけられるのだろうか。

「元寇の謝罪はまだですか?1000年経ってませんよ」

2月22日、東京・韓国大使館前で「竹島の日」反対の演説をしていた韓国人活動家。足元に敷かれた「主張」には慰安婦問題の名も見えた
2月22日、東京・韓国大使館前で「竹島の日」反対の演説をしていた韓国人活動家。足元に敷かれた「主張」には慰安婦問題の名も見えた

   演説は2013年3月1日、1919年に起こった「三・一独立運動」を記念する式典の中で行われた。朴大統領は、

「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」

と前置きした上で、日本に対して、

「日本が私たちのパートナーとなり、21世紀の東アジアの時代をともに導いていくためには、歴史を正しく直視して責任を負う姿勢を持たねばならない」
「韓国と日本はつらい過去を1日も早く治癒し、共栄の未来に向かって共に進めるよう、日本政府は積極的な変化と責任ある行動を取らなければならない」

と述べ、具体的な発言こそ避けたものの、慰安婦問題を始めとする歴史問題に対する反省、そして「責任ある行動」を強く求めた。

   この演説に、日本国内では反発が目立つ。日本政府は戦後補償について、1965年に日韓基本条約と同時に結ばれた日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」との立場をとっている。しかしその後も韓国からはさまざまな局面で「謝罪と賠償」が繰り返し要求されており、そんな中での朴大統領の「千年不変の被害者」論だけに、いささか「うんざり」という人が少なくないようだ。

   自民党所属の元衆議院議員・長尾敬氏がブログで、

「『あぁーぁ、やっちまったなぁ』という印象です。反日を唱えなければ維持出来ない国家なのですね。千年不変って、なんだかなぁ。(中略)千年恨まれるならば、条約(編注:日韓基本条約)とは何だったのかという事にもなります」

といらだたしげに記したほか、東京新聞は3月4日の社説で、

「誇張しすぎではないか。(中略)歴史の加害、被害者の関係も、時の流れで少しずつ変わっていくはずだ」

と批判的に論評した。ツイッターなどでも、

「韓国に対していつまで謝罪しなければならないのか?世代はないのか?なぜ孫の代まで?玄孫まで?時効はないのか?前に進めないのはなぜ?」

と呆れる声、また、

「(当時の高麗軍が参加した)元寇の謝罪はまだですか?1000年経ってませんよ」

といった皮肉な反応が相次ぐ。

   それにしても韓国の真意は、どこにあるのか。

実は前政権時代に「慰安婦」解決直前だった

   韓国政治・日韓関係に詳しい山口県立大学准教授・浅羽祐樹氏は、

「『千年不変』というレトリックこそ強いが、日本に対する要求の水準は前政権と変わらない。いわばアンビバレント(両義的)なシグナル」

と今回の演説を分析する。

   朴大統領は演説の中で、日本が歴史問題に対し「責任のある行動」を取るべきと述べているが、これは李明博前大統領が竹島上陸直後の12年8月15日の演説で使った「責任のある措置」をほぼそのまま引き継いだものだという。

「これが『法的責任』という表現になると、日韓請求権協定で問題が『法的に解決済み』とする日本と正面から食い違うことになってしまい、法的合意の枠内から外れることになってしまう。李前大統領も朴大統領も、そこは一線を引き、踏み込むことを避けている」

   では韓国の求める「責任のある行動」とは具体的にどういうことか。

   浅羽氏が注目するのは、李政権の大統領府対外戦略企画官を務めた金泰孝氏が2月22日の朝日新聞インタビューで、2012年の時点で慰安婦問題は一時、解決直前まで行ったことを明かしていることだ。その内容は日本が元慰安婦に対し、首相からの謝罪と、「国のお金」による「償い」をするという、1995年に発足した「アジア女性基金」に近いものだったとされる。浅羽氏はこうした「人道的な取り組み」という形が、「現実的に可能なギリギリ」の妥協点だろうと話す。

「日本では慰安婦問題というと『強制連行の有無』ばかりが焦点のように思われがちだが、国際的には彼女たちが現地でどのような待遇を受けたか、というところに問題意識が移っており、韓国はそれをよく理解している。日本としては、朴政権が日韓請求権協定の枠を捨て、『新しいゲーム』に行くことを避けなくてはならない」
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