PL学園野球部「暴力は伝統」だった 番長・清原「1年生のときからアザだらけ」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   高校野球の名門校、大阪・PL学園硬式野球部で、上級生の下級生に対する暴力行為が発覚した。これにより春季大会大阪府予選への出場を取りやめるという。

   大阪・桜宮高校バスケットボール部で起きた顧問教師による体罰と生徒の自殺で、体罰問題がクローズアップされるなか、PL学園卒業生の元プロ野球選手、清原和博氏がメディアで「大胆発言」をした。在学時に上級生から頻繁にしごかれたが、チームが強かったのは「しごきがあったから」というのだ。

「オレが指導者になっても体罰はしない」

   清原氏は2013年3月3日放送のスポーツ情報番組「S1」(TBS系)に出演。司会を務めるお笑いコンビ「爆笑問題」の田中裕二さんが、PL学園で上級生が下級生に暴力をふるった一件についてコメントを求めた。すると口から出たのは、予期せぬひと言だった。

「PL学園といえば伝統ですから、暴力は」

   冗談とも本気ともつかぬ言葉に、隣で聞いていた野球解説者の野村克也氏が噴き出した。続けて清原氏は、「僕が1年生で甲子園に出ていたころから、体中アザだらけでした」と明かしたのだ。

   これには田中さんも意外だったのか、「でも体罰はダメですよね」と問いかけると、自身が高校時代に母校が強かったのはしごきがあったおかげという趣旨を述べた。

   清原氏は、指導者が生徒に一方的に暴力をふるうのを容認したわけではない。半面、上級生らによる理不尽とも思えるしごきを受けて、自分は精神的に鍛えられたと言いたかったようだ。このことは「フライデー」2月1日号のインタビューで、「暴力は絶対に容認できない」「オレが指導者になっても体罰はしない」と強調しつつ、厳しい体罰やしごきを乗り越えてきたから今の自分がある、と話していることからも読み取れる。

   PL野球部で清原氏と共にプレーし、甲子園をわかせた野球評論家の桑田真澄氏は、1月12日付の朝日新聞のインタビューで、在学中に「体罰を受けなかった」おかげで一番成長したと明かしていた。この点を聞かれた清原氏は、「桑田はやられていない。要領がよかったんでしょうかね」と「裏話」を披露してみせた。

   甲子園で大旋風を巻き起こし、プロ野球で一時代を築いた「KKコンビ」が、「体罰完全否定」と「ある程度のしごきはやむなし」と意見が割れたのは興味深い。

「往復20発ぐらいビンタされた」

   「フライデー」で清原氏は、野球を始めた小学5年生からPL時代までの厳しかった日々を回想している。中学時代、コーチから「センターに打て」と指示されたが、レフトに本塁打を放った。戻ってくるとコーチから「往復20発ぐらいビンタされた」。だがこういった指導で「オレの根性が鍛えられた」と、今も感謝しているという。

   そしてPL野球部に入部。1年生で球拾いをしている際、とり損ねると捕手役の2年生が監督からバットで尻をたたかれる。その夜は2年生が1年生のミスを責め、殴ったそうだ。上級生の仕打ちが怖くて練習時は緊張感であふれた「効果」か、試合の緊張など大したことがないと思うことができ、「『逆転のPL』と恐れられるほど窮地に強かった」と振り返る。

   そのうえで、あまり怒られた経験のない選手だと根性がすわっておらず、「ここぞ」という場面に打てない、強い精神力を発揮できるようになるには、多少はしごきを経験するのも必要ではないか、と持論を展開した。

「あんなことを言って大丈夫か」

   テレビ番組での清原氏の発言を聞いて、ツイッターでは「あんなことを言って大丈夫か」との声や、体罰容認とも受け止められかねないとの批判が出た。一方で、有無を言わさない上下関係がPL野球部に「伝統」として残っていたこと自体を疑問視する人もいた。

   自身が学生時代に受けたしごきや体罰を告白する例はほかにもある。米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹投手は2012年7月5日付の米紙ニューヨークタイムズに高校野球部時代を語ったが、そのエピソードは強烈だ。「体罰が当たり前だった時代に育った最後の世代」と紹介され、(1) あまりの喉の渇きに監督の目を盗んで川やトイレの水をすすった、(2) 監督から「罰走」を命じられ、朝9時から監督の就寝時間まで15時間、4日続けて飲まず食わずで延々走らされた、といった経験が描かれている。

   記者は、「米国では、こういった扱いは犯罪行為とみなされるだろう」と厳しく断じた。日米で文化の違いがあるとはいえ、子どもに対する虐待であり「暴力コーチ」と言われても仕方がないと、専門家も指摘している。

姉妹サイト