「男性同士のラブは純粋で、強度高く、胸をときめかせる」
男性がBLに感じる魅力とは一体何なのか、おたく史研究家で自身も「腐男子」の吉本たいまつさんに聞いてみた。
最近「腐男子」が確かに増えてきた実感があるという吉本さん。原因としては、「隠れた趣味」だったBLが、05年から06年にかけて一般的になってきたこと、世間が腐女子に対して比較的寛容だったため、それまで隠してきた腐男子も自己表明をするようになってきたということ、ブログやmixi、ツイッターで「腐男子」であると自己表現し、そういったSNSで同好の士が集うことで「一人じゃないんだ」と感じ、さらに自己表現する男性が増えたことがあるのではないか、と見ている。
男性がBLを好きになるきっかけは、(1)少女マンガが好きで、少女マンガを読み進めていくうちに、BLにたどり着いた(2)家族やサークル仲間に教えられて、BLにはまった(3)同人誌即売会で本を買って二次創作にはまり、そこからBLを読むようになった(4)二次創作アンソロジーを原作と間違えて手に取って、そこからはまった(5)元々ショタ(編注:小学生くらいの男の子)好き、「男の娘」(女性のような外見の男性)好きで、可愛い男の子が出てくる本を読んでいく中で、BLを読むようになった、という例がある。ちなみに吉本さんは(5)のパターンだそうだ。
男性から見たBLの魅力は、「男性同士のラブを描くことで、純粋で、強度の高い、胸をときめかせるラブストーリーを楽しめる」、「『強くあらねばならない』とされる男性にとって、受け(性行為で女性役になる男性)になってもいいし、ヘタレでもいいという点が救いになる」「日常的に同性に恋心を抱いたり、抱かれたりすることは少なくないが、現在の社会規範では『やってはいけないこと』とされてしまう。そこに男性だから分かる切なさがある」の3点を挙げてくれた。
最後に、吉本さん流の「BLの面白い読み方」として、BLはとんでもない設定が多く、ギャグとの親和性が高いとのことで、「ギャグBLを積極的に読む」ことをオススメしていた。