高値更新ズラリ TPPにらみ買われる「倉庫・運輸」株

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   東京株式市場は日経平均株価が続伸している。

   2013年3月1日、米国景気の上昇期待から円相場が3日続落したものの、自動車や電機などの輸出株は振るわず、代わりにこの日「主役」を務めたのが内需株。不動産や倉庫、運輸、食品、卸・小売業などがけん引した。

「貿易が活発になる」と連想

   東京株式市場の3月1日の終値は前日比47円02銭高の1万1606円38銭で、2月25日(1万1662円52銭)に次ぐ、今年2番目の高値で引けた。

   円相場は下落基調が続いてはいるが、イタリア総選挙の影響で欧州の債務危機の再燃懸念もあって輸出株の上値は重く、為替リスクを嫌った個人投資家が内需株への買いを強めている。

   2月28日の施政方針演説で、安倍晋三首相がアベノミクスの「3本目の矢」にあたる成長戦略について、復興や防災、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の参加をにらんだ農業支援、エネルギー対策、再生医療やクールジャパンなどの内容を盛り込んだことで、これらの政策テーマが材料となり、株式相場が動いた。

   なかでも、大きく動いたのが不動産株や倉庫株、運輸株だ。年初来高値を更新する銘柄が続出した。

   澁澤倉庫はストップ高の429円まで上昇。終値は前日比74円高の423円で引けたが、値上げ率の21.20%は1日の東証1部に上場する企業でトップだった。

   安田倉庫もストップ高を付け、前日比150円高の876円で引けた。20.66%の上昇は、値上がり率で第2位だ。東証1部では4位にケイヒン(17.57%、終値174円)、9位には東陽倉庫(14.63%、同282円)と、この日のベスト10に4銘柄が入った。

   倉庫株は、三菱倉庫(値上がり率3.25%、1556円)や住友倉庫(7.36%、569円)、三井倉庫(9.70%、475円)、日本梱包運輸倉庫(7.12%、1384円)なども買われたほか、東証2部に上場するイヌイ倉庫もストップ高を記録。前日比100円(16.05%)高の723円を付けるなど、いずれも年初来高値を更新している。

   運輸株の日本通運も一時427円まで上昇し年初来高値を付けた。終値は前日比16円(3.93%)高の423円だった。

   アベノミクス効果で企業の生産力の向上が見込めること、またTPP交渉が本格化してくれば、今後さらに貿易が活発になることが想定され、物流拠点としての倉庫株や運輸株が注目されたようだ。

土地の値上がりも期待

   不動産株も軒並み上昇。三菱地所(値上がり率6.06%、2450円)、三井不動産(3.22%、2434円)、住友不動産(5.90%、3320円)と、大手3社がそろって年初来高値を更新した。

   3月1日の日経平均株価の値上がり率が0.41%だから、不動産株や倉庫株がいかに突出していたかがわかる。

   国土交通省が2月26日に公表した1月時点の全国の主な商業地と住宅地の地価動向によると、調査した150地点のうち51地点(34.0%)で上昇。前回の12年10月時点から17地点増えた。同省は「景気の見通しがよくなってきたことで、土地購入のリスクが低くなっているためではないか」と分析している。

   地価が上昇に転じる傾向がより明確になってきたようで、不動産株や倉庫株、運輸株などの上昇は、保有している土地の含み益が拡大するとの個人投資家の思惑も働いているとみられる。

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