多額の特許料については「考えたことない」
野口五郎さんが7年前に発案したきっかけについて、フォネックス・コミュニケーションズの開発責任者は、取材にこう説明する。
「野口さんは、路上ライブをするアーティストがCDやDVDを自ら焼いて販売する姿を見て、なんとか歌や演奏に集中できないかと考えていました。それも最近は、CDプレーヤーなどを持っておらず、スマホを持ち歩いている若者たちが多い。そこで、歌などを簡単にダウンロードできるサービスがあれば便利だと思いついたと聞いています」
QRコードを紙などに印刷すれば、CDなどと違ってコストもかからないことになる。こうした発想が出てくるのは、五郎さんが、作曲などでパソコンを使うことも多く、ITに通じているからのようだ。
現在は、フォネックス・コミュニケーションズが芸能プロなどと話を進めており、特にブライダル業界から好感触を得ているという。結婚式を編集したエンディングムービーを持ち帰ったり、披露宴に来なかった人にそれを配ったりできるからだ。
ライブなどで配布した反応について、担当者は「『帰りの電車内で見られる』『リアルで見た感激がよみがえった』などとツイッターでつぶやく人が多く、非常によかったですよ」と話す。
五郎さんは、4年前に特許を出願し、2011年11月に登録された。成功すれば多額の特許料が入る可能性があるが、スポーツ紙報道によると、本人は前出のコンサート後に「考えたことない。僕は歌うだけだから」と説明した。フォネックス・コミュニケーションズでは、あくまで佐藤靖の本名で特許を取っており、アーティストとしてビジネスに乗り出すわけではないとしている。