「いやあああああああああああああああああああああああああ」「パンダこえええええええええええええええええええええええええ」
―――ネット上で、こんな悲鳴がこだましている。中国四川省で野生のパンダが子羊を食べたというニュースを受けたものだ。
日本では、パンダといえば笹や竹しか食べないというイメージを持っている人は多い。それだけに衝撃をもって受け止められたようだが、専門家は「まったく不思議ではない」という。
逃げる時にも食べ終わっていなかった子羊を放さなった
中国網日本語版は2013年2月26日、「四川省で野生パンダが民家侵入 仔羊を盗み食い」と見出しを打った記事で、旧正月期間中に野生のパンダが村に侵入、村人が家で飼っていた子羊を食べてしまう事件があったと伝えた。
それによると、遠くから羊たちがおびえて叫ぶ声を聞いた村人が、放牧場から10メートルのところにある木の上でジャイアントパンダが子羊を抱えて食べているのを目撃した。
その後、羊の飼い主や県の林業局の野生保護係、村の書記をはじめ、多くの人が事件現場に駆け付けた。怖がったパンダは木から降りて山に行ってしまったが、逃げる時にも食べ終わっていなかった子羊を放さなったという。
今回の事件で撮られたものかは不明だが、添えられた写真には、口に小さな動物をくわえて4つ足で歩いているパンダの姿がしっかりと写っていた。笹を抱えて座り込んでいるような、いわゆるパンダのイメージとは遠くかけ離れている。
そのせいか、ネットでは「ヒツジ食うの?w びっくりだよ!」「えええ~笹しかくわねえ様な顔して雑食かよw」などと驚いた人が多く出た。
「パンダの野郎、あの目はいつかはやると思ってたぜ!」
「パンダの野郎、あの目はいつかはやると思ってたぜ!」
「笹って一斉に枯れることがあるから、パンダは飢えたら何でも食う習性だよ」
一方で、こういう人もいる。
実際、パンダの飼育をしている上野動物園によると、エサは竹のほか、特製のパンダだんご、野菜、にんじん、りんごなど様々な種類を与えているそうだ。
パンダの貸し出し元・中国による指導に従い、現在はエサとして肉は与えていないが、
「パンダはクマの仲間ですから、(今回のニュースは)まったく不思議ではないですね」
と担当者はこともなげに話した。
園ホームページによると、パンダは食肉目クマ科に分類される。草食動物と思われがちだが、腸の長さは体長の約4倍と短く、肉食性の消化機能を持っている雑食動物だ。
そのため、実は繊維質の多い竹や笹を、充分に消化し栄養にすることができない。生きていくのに必要なエネルギーを得るのには、大量の竹を食べ続ける必要がある。
一体なぜそんな不便な食生活をしているのか。パンダは天敵や餌の競争を避けて、中国山岳地帯の奥地を生息の場とした。そこで冬でも枯れず1年を通して豊富に得られる食物が竹・笹だけだった。
つまり、生存競争を避け、身を守る環境で暮らすことを選んだ結果、食べるものについて無理するようになったというわけだ。