G20財務相・中央銀行総裁会議が転機
黒田氏に「追い風」になったのが2月15、16日の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議だった。ここで、アベノミクスに対し新興国から「円安誘導」との批判が噴出、共同声明は名指しの日本批判は回避したものの、通貨安競争をしないことを確認した。これを受け、安倍首相は20日の参院予算委で「国際金融の世界はインナーサークルを形成している。その中に入って発信もできるし説得もできる能力を持った人が今こそ必要だ」と、国際性重視を明確にした。黒田氏は2003年に財務官を退任した後、小泉政権の内閣官房参与を務め、株価7000円割れといった危機の最中に各国金融当局と水面下で話し合うなど活躍。当時、官房副長官だった安倍氏に強い印象を与えたといわれる。