日銀総裁人事の舞台裏 本命でない黒田氏になぜ決まったのか

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財務省は武藤敏郎・元次官(69)が本命

   この中では岩田規氏が同党の意中の人と見られたが、麻生氏らが「学者はダメ」と岩田規氏に反対。代わりに同じ緩和派の論客で安倍首相述ブレーンの一人、旧経企庁出身の岩田一政・元副総裁(66)=日本経済研究センター理事長=を推す声が出たというが、みんなの党は「日銀が2006年に量的緩和を解除する大失敗を犯した時に解除を主張した人物では務まらない」(渡辺代表)と拒絶し、日の目を見なかった。

   財務省サイドの対応も微妙だった。そもそも、「下手に動けばマイナスばかり」(有力次官OB)と、慎重だったのは当然だが、黒田氏起用には大きな障害があった。2011年秋ADB総裁に再選されたばかりで任期は3年半も残り、途中辞任すると「発足以来維持してきたADB総裁ポストを中国に奪われかねない」との懸念が財務省内で強かった。

   財務省としては元々、5年前に副総裁からの昇格を参院で否決された武藤敏郎・元次官(69)=現大和総研理事長が本命。黒田氏が主流の主計畑でなく、現役時代から日銀批判の急先鋒という「他の役所を露骨に批判しないという財務官僚らしくない人」(財務省OB)という事情もあった。しかし、武藤氏は、「民主党が野田佳彦前政権で財務省と関係修復したといっても、5年前に拒否した人は認めがたい」(民主党関係者)ことから、候補から落ちた。

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