米司法省が格付け会社S&P提訴 ムーディーズやフィッチはなぜお目こぼし?

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「格付け会社の追及は当然」の声

   今回の提訴は、格付けというグローバル金融に不可欠の役割と、債券などの発行側・それを買う投資家側の利益相反という格付けの宿命を、どう判断するかという大きなテーマを抱える。

   「CDOなどはそもそも、借金する経済力がない人にまでサブプライムローンで貸しまくった商業銀行、それを証券化した投資銀行、それに高格付けという裏付けを与えた格付け会社の"三位一体"で起きたことで、格付け会社の責任追及は当然」(国際金融筋)との受け止めが多い。

   ただ、今回の提訴を米国債の格付けと絡めて疑問視する声もある。米連邦債務上限の引き上げをめぐり政権と議会が対立する中、S&Pは2011年8月、米国の信用格付けを最上級の「AAA」から「AA+」に、1段階引き下げたが、3大格付け会社のうち残るムーディーズとフィッチは最上級格付けを維持している。このため、米市場関係者やアナリストらから、「ある種の報復のように見える」「ムーディーズやフィッチがCDOなどに対し同じ格付けを与えていたのにS&Pだけ提訴した理由をどう説明するのか」といった指摘が出ているという。

   日本では、S&P日本法人が4件のデリバティブ商品について、損失情報を知りながら格付けに反映させなかったり、損失に関する情報を発行元に確認する義務を怠ったりして、本来より高い格付けに据え置いていたことに関し、昨年12月、金融庁が業務改善命令を出している。業務管理体制が不十分だとのテクニカルな理由だが、日本政府には日本国債の格下げなどについて格付け会社への"遺恨"もあり、今回の米国の提訴の行方を注視している。

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