電気料金の値上げを拒否して東京電力に1年近くも滞納している工場や事業所などが約1100件もあることが分かり、疑問の声が上がっている。どんな事情があるというのか。
1100件もの滞納があることは、新聞各紙が2013年2月28日に一斉に報じた。
東電、拒否続ければ送電停止を検討
企業向け電気料金については、東電が12年4月から平均で14.9%値上げしている。震災の影響で原発が相次いでストップし、火力発電の依存度が高まって燃料費の負担が増えているのが主な理由だ。
電力自由化で料金は1年ごとの更新になっており、これまで約22万件が値上げ後に契約した。しかし、まだ0.5%が電気を使いながらも支払いを拒んでおり、東電では27日、このまま拒否を続ければ、送電をストップさせることも検討することを明らかにした。
その理由について、東電では、料金を払っている事業者から不満が上がっており、事業者間の不公平感をなくすためと説明している。滞納額は、これまでに70億円にも達しているという。
それらの事業所などでは、どんな事情で滞納を続けているのか。
フジテレビ系で28日に放送された「とくダネ!」では、キャスターの小倉智昭さんが知っているゴルフ場のケースを挙げた。
それによると、原発事故後に汚染の影響を恐れて利用者が激減し、東電に対し、被害の補償を要求している。しかし、補償の話は進まず、そんな中で電気料金値上げが持ち出されたため、ゴルフ場側が反発しているというのだ。小倉さんは、こうした事業所などがかなりあると聞いたと明かした。
とはいえ、こうした事情と使った電気料金を払わないことは別だとの声がネット上では多い。
マスコミの報道ぶりにも批判出る
「主義主張はあれど、払うべきじゃないのか。ゴネ得はいかんだろ」「使いながら支払いしないのはひどいな」「カネ払ってないんだから止めるのが当たり前」といった指摘だ。
東電の送電停止方針について、「強制的に打ち切れば利用者からの批判を浴びそうだ」などと報じた新聞もあったが、「マスゴミ君はバッシングしたくてしかたがないらしい」などと報道に疑問が出ている。
もっとも、東電に対して、「思い上がりもいい加減にしろ」「競争原理をもっと入れようよ!」といった声もある。反原発を掲げる人たちからは、罵声を浴びせられているようだ。
東電の広報部によると、滞納しているのは、主に首都圏を中心にした中小の工場や事業所だという。中には、60回も足を運んでも契約しようとしないところもあったそうだ。
ネット上では、「検討じゃなくサッサと止めろよ」との声もあるが、東電では、「説明する必要がありますので、直ちには止められません」とした。
被災がらみもあるかは、把握していないという。分かっても個別のことは回答を差し控えたいと言っている。