「アベノミクス」効果が、ベンチャー企業などが多く上場する新興市場の株価も押し上げている。
2013年2月27日は、イタリア総選挙の混迷で欧州の債務問題の再燃が懸念され、為替相場は世界的に円高にふれた。そのため、東証1部に上場する輸出株などが軟調に推移。しかし、その一方で内需関連株が多い新興市場には医薬品・バイオ株を中心に、堅調に資金が流入した。
東証マザーズ指数、ジャスダック指数ともに高値水準
この日の東証マザーズ指数は、前日比26.38ポイント(4.77%)高の579.09と急伸。年初来高値を付けた1月28日の587.00に迫った。売買代金も982億円と、1か月ぶりの高水準だった。
一方、日経ジャスダック平均株価も小幅に反発した。終値は前日比6円60銭(0.41%)高の1611円77銭。ジャスダック・インデックスも同0.86ポイント(1.26%)高の69.01で、年初来高値を付けた。
安倍政権が「大胆な金融緩和」を打ち出して以降続いていた「上げ相場」が1か月ほど前からやや下落。「円安の流れが一服した」ことで調整局面に入っているが、それによって「為替の影響を受けにくく、出遅れ感があった内需株に資金が入りやすくなりました」(野村証券投資調査部・山口正章部長)という。
新興市場には内需関連株が少なくない。かつ値動きが軽く、変動幅が大きいベンチャー企業が多いので、短期売買で利益を得ようという個人投資家が買っているようだ。
なかでも、医薬品・バイオ株には勢いがある。東証マザーズ市場の時価総額は1兆5928億円(2月27日時点)だが、そのうちバイオ関連株は約3割を占める。
野村証券の山口部長は、「医薬品・バイオ株は昨年、山中教授がノーベル賞を受賞して以降から上がり続けていましたから、(この1か月間は)調整しやすかったといえます」と説明。そこに再び資金が流入した。
政府の緊急経済対策に再生医療の実用化支援が盛り込まれ、期待が高まったこともある。
創薬事業を手がけるナノキャリアの株価は2月27日、前日比7万円(17.07%)高の48万円を付けた。この日の同社株の売買代金は370億円と、東証マザーズ市場全体の4割弱を占めたという。