風しんが大流行中だ。東京では2012年に、11年の20倍以上の爆発的な感染数を記録し、年が明けても数が増加し続けている。
全国的にも同様の傾向で、春から夏にかけてさらに流行拡大の可能性があり、専門家はワクチンの接種を呼びかけている。
20代~40代の患者が圧倒的に多い
東京都感染症情報センターによると、東京都での年間の風しん感染数は、記録をとり始めた2008年以降2桁台前半で推移していたが、12年は672人と突如爆発的に増加した。12年夏ごろから月間で30~40の感染が確認されるようになり、13年に入ると2月1週目の感染数が90、2週目が101、3週目が133と指数関数的に増え続けている。
これは全国的な傾向と言えそうだ。国立感染症情報センターのまとめによると、2013年は2月2週目までで、すでに12年(2353人)の1/4弱にあたる745件を記録している。なお、11年の感染数は371人だった。
患者は、いずれにおいても20代~40代の男性が圧倒的に多い。
この原因について、東京都感染症情報センターの担当者は「ワクチンの接種を受けていないからではないか」という。風しんワクチンの接種は1977年から中学生の女子を対象におこなわれてきた。風しんウイルスの胎内感染によって先天異常を起こす感染症「先天性風しん症候群」を防ぐためだ。
一方で男性は、1995年に1~7歳のすべての子どもを対象に、全3回の定期接種が求められるようになってようやく、ワクチンの接種を受けるようになった。
そのため、20代以上の男性には風しんウィルスに対する免えきがない人が多く、急激に流行が拡大してしまったと考えられるという。
ただ、なぜこのタイミングだったのかはわからないそうだ。
春から夏にかけて流行拡大の危険性
この流行、いつまで続くのか。担当者は感染症の流行の予想は難しいと前置きした上で、
「風しんはもともと、春から夏にかけての病気ですから、これから広がっていく可能性はあります」
とさらなる流行拡大の懸念を示した。
予防策としては、ワクチンを打つことがあげられる。成人の場合は自費負担になるが5000円程度ででき、1回で済むという。受けてから2週間から1か月で効果が出てくるため、今打っておけば、流行の本格化の時期に備えられると言えそうだ。
東京都の担当者も「(成人には自費ということで)お願いするしかできないが、ぜひ受けて欲しい」と力をこめた。家族間で伝染がおこりやすいので、とりわけ妊婦のいる家庭では「先天性風しん症候群」の危険性があるからだという。
なお、子どもの場合は年齢によっては無料でワクチンを受けられることもある。たとえば東京都では、13年3月31日まで、中学校1年生と高校3年生でワクチンを1回しか受けていない子どもを対象に、2回目のワクチン接種を無料としている。
風しんの初期症状は発熱や発しん。これが出たら、まずは医者に受診することが必要だ。その上で、「家でおとなしくしているのが一番ですが、仕事を休むのも難しいかと思いますので、手洗い・マスクなどをして、周りに広げないよう気をつけて欲しい」とも話していた。