作詞家の秋元康氏(54)が手がけたシングルの総売り上げ枚数が6859.1万枚に達し、故・阿久悠さんの6831.9万枚を抜いて作詞家売り上げ歴代1位になったことがわかった。2013年2月28日、オリコンが発表した。
秋元氏といえば「AKB48のプロデューサー」というイメージが強いが、これまで名だたる歌手の作詞を手がけてきている。映画の企画や小説の執筆など色々な仕事を担っているが、「あくまでも自分は作詞家」と語っていただけに、「日本一」には格別の想いがありそうだ。
「川の流れのように」「クリスマスキャロルの頃には」も秋元氏作詞
最多売り上げはAKB48の26枚目のシングル「真夏のSounds good !」(12年5月発売)の182.2万枚で、総売り上げのうち約3割にあたる1998.7万枚をAKB48が占めている。
秋元氏は今回の記録について、「ありがとうございます。売り上げで1位になっても、まだまだ、諸先輩の足元にも及びませんが、ひとつの励みとして、これからも精進したいと思います」とコメントした。
秋元氏は高校在学中にアルバイトで放送作家を始め、1981年10月にTHE ALFEEの「言葉にしたくない天気」で作詞家デビューした。以降、故・美空ひばりさんの「川の流れのように」(89年1月発売)を筆頭に、小泉今日子さんの「なんてったってアイドル」(85年11月発売)、とんねるずの「ガラガラヘビがやってくる」(92年1月発売)、稲垣潤一さんの「クリスマスキャロルの頃には」(92年10月発売)、そうそうたるヒット曲の数々を手がけてきた。2005年にAKB48を立ち上げてからは、姉妹グループのSKE48、NMB48ともにほとんどのシングル曲の作詞を担っている。
13年2月11日にBSプレミアムで放送されたドキュメンタリー番組「密着!秋元康2160時間~エンターテインメントは眠らない~」では、「自分はプロなんだなってなったのは、やっぱり美空ひばりさんの詞を書いたことが1番ですかね。日本を代表する歌姫が秋元さんの歌をってことで歌ってくださったわけだから、そうするとこれはやっぱりプロなんだなと。だから僕はいまだに作詞家を肩書きにしてる」と語っていた。
これまで「日本一」として君臨してきた阿久悠さんは、「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、「北の宿から」(都はるみ)、「勝手にしやがれ」(沢田研二)、「UFO」(ピンク・レディー)、「雨の慕情」(八代亜紀)と、多彩な歌手の作品でレコード大賞受賞曲を連発している。それに比べると、秋元さんの「大賞」はAKBの「フライングゲット」「真夏のSounds good !」のみ。「まだまだ、諸先輩の足元にも及びません」「これからも精進したい」というのは、そうした違いを踏まえていそうだ。