ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」を年内に世界発売する。2013年2月20日(米東部時間)、米ニューヨークで開いたイベントで発表した。価格などは未定。
交流サイト「フェイスブック」でゲーム映像を共有できるなど、ネットワーク機能を強化する。7年ぶりのシリーズ刷新でスマ-トフォンに押されがちなゲーム専用機の巻き返しを図る狙い。経営の悪化したソニーの収益を押し上げられるか、年末商戦の行方が注目される。
ソーシャルゲームを強く意識
「これまでの常識を覆すようなゲーム体験をお届けする。ユーザーやゲーム開発者の飽くなきご要望にお応えする」。PS4の発表イベントでSCEのアンドリュー・ハウス社長はこう強調した。
PS4は、2006年発売の「PS3」の後継機。インターネットで知人とつながりながら、スマホで安価もしくは無料のゲームを遊ぶ最近のスタイルを意識し、ネットワーク機能を拡充したのが最大の特徴だ。
例えば、自分がゲームをプレーしている映像を、インターネット中継サービスの「ユーストリーム」を通じて友人たちに生中継することが可能。これに対し友人たちは中継映像にコメントを投稿できるだけでなく、「特別な武器」などを提供してゲームの進行を支援することもきる。SCEは「今までにない方法で、ゲームに参加することができる」としている。
ただ、こうした「ゲームの進行を、ネットを通じて知人に手助けしてもらう」ようなゲームの遊び方は、スマホなどで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」でグリーなどの交流サイト大手が提供しており、かなり一般的に行われているものだ。ゲーム専用機としてかつて一世を風靡したプレステシリーズも、ソーシャルゲーム人気を強く意識せざるを得ないことの裏返しでもある。
ゲーム専用機で遊ぶ時間が減っている
実際、スマホのソーシャルゲームにゲーム専用機は押されている。調査会社「シード・プランニング」によると、スマホのゲームユーザーはスマホに買い換えてから「ゲーム機で遊ばなくなった」が15%に上るほか、「ゲーム機で遊ぶ時間が減った」も29%。半数近くのゲーム機離れを進めているのだ。
同じ調査でスマホのゲームユーザーの18%は「ゲームの課金に応じる」と答えており、お金を支払う面でもじわりとソーシャルゲームに傾く。
専用ゲーム機と言えば任天堂だが、昨年の年末商戦では鳴り物入りで投入した据え置き型「Wii U」は年明けから伸び悩み、3月末までの世界販売計画を550万台から400万台に下方修正。ソニーも2011年末に投入した携帯型「PSヴィータ」の不振が深刻で、今年2月28日に最大1万円の値下げを実施してテコ入れせざるを得なくなっている。
ゲーム専用機を買う「初期投資」が不要なソーシャルゲームの隆盛で、ゲーム専用機市場がこの先成長すると見方は少数派になりつつある。ただ、中国やインドなどの新興国は「未開の市場」だけに、「新興国で贋作リスクを抑えることに成功すれば再成長の余地はある」(国内証券)との声もある。