原発稼働の停止や輸入される燃料費の高騰が、思わぬところに影を落とすことになりそうだ。四国電力(四電)は企業向けの電気料金の大幅値上げを決めたが、値上げ分をどのように吸収するかが地元企業にとって大きな課題になっている。
四国旅客鉄道(JR四国)は運賃の値上げは避けたい考えだが、1編成当たりの車両数を減らしたり、電車を一時的に気動車(ディーゼルカー)に変更するという異例のコスト削減策も浮上している。
運賃値上げや間引き運転は避けたい考え
四電は2013年7月から企業向けの電気料金を平均17.5%値上げする方針を発表している。JR四国でも年に約10億円の電気料金を負担しているが、値上げが行われた場合、さらに2億円のコストアップにつながる見通しだ。
泉雅文社長は2月25日の会見で、運航本数の削減や運賃値上げは避けたいとの意向を表明。利用者の負担が大きい上に、バスなど他の交通機関との競争力が低下することがその理由だ。
問題になるのが、2億円をいかにして吸収するか。会見では、現在3両編成で運行している列車を2両に減らし、電車を気動車に変更する案などが披露された。車両数の削減については、09年に「1000円高速」で公共交通機関が打撃を受けた際にも検討されたが、気動車への変更が検討されるのは極めて異例だ。
いずれも「検討する余地がある」といった構想レベルで、具体的な対象路線やコスト削減効果は明らかになっていない。また、軽油も円安の影響で値上がり傾向にあることから、原油価格の動向も慎重に見極めたい考え。