米国が支援に回ったのが「決定的だった」
もちろん、先進国にも温度差はあったが、米国が「日本のデフレ脱却を目指す努力を支持する」(ブレイナード財務次官)と、支援に回ったのが「決定的だった」(財務省)といい、この流れがG20につながった。
ただ、G20共同声明の「競争力強化のために為替レートの目標を設けない」」との文言は「円安誘導」の明確な否定であり、安倍内閣は、厳しくクギを刺されたといえる。
安倍首相は2012年の総選挙の中で「金融政策で円高是正するのは当然」と言い放ち、自民党の公約には、官民ファンドでの外国債券購入を盛り込んだ。1月に、首相の最大の経済ブレーンである浜田宏一内閣官房参与が「(1ドル)100円は非常によい境界線」と発言。政府、与党幹部から呼応する声が上がるなど、口先介入の誘惑は続いている。
安倍首相自身、2月18日の参院予算委員会で「金融緩和はデフレ脱却が目的で、為替操作していたずらに円安に導いているわけではない」と釈明しつつ、金融緩和の具体的手段は日銀に任せると言っていたはずが、日銀の金融政策の手段として「外債を買うという考え方もある」と述べ、麻生太郎副総理兼財務相が翌日の記者会見で「外債を購入する気はない」と否定すると、安倍首相が20日の予算委で「(外債購入ファンドの設立の)必要性は薄まっている」と、軌道修正するなど、迷走した。