日本人4人を含む19人が死亡したエジプト南部の観光地、ルクソールの熱気球墜落事故で、パイロットの行動に批判が集まりそうだ。
英紙などが目撃者の話として伝えたところによると、パイロットは火災発生直後に真っ先に逃げ出し、その結果気球のバランスが崩れて急上昇しているからだ。
パイロットらが飛び降りてバランスが崩れ、急上昇
事故が起きたのは2013年2月26日午前7時(日本時間14時)頃。エジプトのマダウィ民間航空相が記者団に説明したところによると、地上5メートルまで降下したところでパイロットがロープを地上に投げて着陸の準備をしていたところ火災が発生。その後、気球は急上昇して落下した。着陸直前は、気球が一番不安定な状態になるとされている。
英ガーディアン紙では、目撃者の話としてさらに詳しい話を伝えている。この目撃者によると、火災が起きたのは高度3メートル。4つあるガスシリンダーのうち、ひとつからガスが漏れたという。この直後にパイロットと英国人旅行者の2人が飛び降りた。パイロットは70%のやけどをした状態だったという。2人が飛び降りたことで気球のバランスが崩れ、通常よりも多くの熱い空気が送り込まれたため、1000フィート(300メートル)にまで急上昇。その後、煙を上げて炎に包まれた状態で落下したという。
上昇が始まってからも5~6人が飛び降りた
上昇が始まってからも5~6人が飛び降りた模様だが、すでに高度は100フィート(30メートル)に達しており、地面に衝突して死亡したり、焼死したりした。結局、気球に乗っていた21人のうち、助かったのは最初に飛び降りた2人だけだった。
パイロットは病院で治療を受けており、頭部と足を負傷したものの話せる状態だという。
なお、日本気球連盟の「パイロットハンドブック」では、事故が起こった際の対処手順を(1)負傷者等の救出(2)二次災害防止(3)緊急連絡(4)被害者への謝罪(5)現場の復旧、と定めており、特に(1)では「人命第一優先であることから、まず負傷者を救出し、応急措置を行う」とある。
24か国でのフライト経験を持つ藤田昌彦さんも、TBSの「朝ズバッ!」の中で
「あり得ないですよね。自分の身が大事で降りたんだと思いますけど。あと、残された人は、やるすべがないですよね。何もできない。考えられない」
と、あきれた様子だった。