早期に運航再開できれば欠航は減る
一方、日本航空(JAL)は3月30日までに国際線延べ94便を欠航することを発表している。13年1月~3月の売上高は11億円減少し、収支としては7億円のマイナスだ。4月以降は代替機のボーイング777型機の定期点検の影響で機材繰りが厳しくなり、欠航が増える見通し。2月25日に予定していた成田-ヘルシンキ便の開設も延期した。なお、JALは国内線では787を運航していない。
ANAでは、
「787の復帰の状況によっては必要に応じ、欠航した便の復便等の必要性を検討して投入する可能性はあります」
と787の運航が早期に再開されれば欠航の便数も減らせるとみているが、運航再開の見通しは立っていない。
787の製造元のボーイング社は米連邦航空局(FAA)に対して、バッテリー内で熱が伝わりにくくするなどの運航再開に向けた改善案を提示しているが、発火事故の原因究明に至っていないことには変わりなく、FAAが運航再開を認めるかは不透明だ。
日本政府も、運航停止の長期化を踏まえた対応に乗り出した。国土交通省は2月26日、787運航停止にともなう航空会社への支援策を発表。(1)空港内に787を留め置く際の停留料を免除する(2)配分された発着枠の使用率が80%を切った場合、その後の枠配分で不利になるルールがあるが、787の影響が出ている路線については適用を免除する(3)機長は年に1回実際の路線で実技試験を受ける必要があるが、運航停止で試験が行えないため模擬飛行装置(シミュレーター)などでカバーする、といった内容だ。