環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加が確実になるなど、日本では一定の評価を受けている日米首脳会談が、中国メディアでは冷ややかに報じられている。
尖閣諸島問題についてオバマ大統領から特に発言がなかったことを根拠に、「その『タカ派』的態度を抑えざるを得ない」と安倍晋三首相を揶揄してもいる。
米国の冷淡な態度で「『タカ派』的態度を抑えざるを得ない」
中国国営の新華社通信は2013年2月23日、「安倍首相は米国で冷遇された」と題する国際論評記事を配信した。記事では、訪米は安倍首相の「念願が叶って実現した」が、米国の冷淡な態度で「(安倍首相の期待は)『取らぬ狸の皮算用』で、その『タカ派』的態度を抑えざるを得ない」と論じた。
記事では、会談や記者会見の時間が短かった上に、晩餐会がセットされずに昼食会にとどまったことなどを「冷遇」の根拠として挙げている。また、安倍首相は尖閣諸島問題でオバマ大統領の支援を取り付けることを希望していたが、空振りに終わったことも指摘。その背景を、
「米中の経済、政治、軍事、文化交流は絶えず深くなっており、中国の米国に対する戦略的重要性は増している。オバマ政権で最も重要なのは経済政策で、戦略面で米中関係の発展を重視せざるを得ない。そのため、核心的な利益ではない尖閣諸島の問題で、軽々しく中国と事を構えることはできない」
と独自な分析を披露、オバマ政権が中国を重視し、配慮したためだとした。
新華社以外にも広州日報や光明日報が同様の指摘をしている。不用意に日本に肩入れすることで米中関係の悪化を避ける狙いが米国側にある、という見方だ。