政府の「リコール情報サイト」認知は、2割以下
製品に欠陥などが確認された際、メーカーは国への報告義務を負うほか、場合によってはリコール情報を公表して回収を進めなければならない。だが、企業規模によって製品回収や危険性について周知の度合いは異なってくる。
パナソニック(旧松下電器)の石油ヒーターで一酸化炭素中毒事故が相次ぎ、05年4月にリコール製品となった際、同社が回収や修理作業に手間取る中で新たな死亡事故が発生。国からの命令もあって同社はその後、国内全世帯にはがきを送ったり、テレビCMを危険性の訴えなどに切り替えて大々的な回収作業を行った。
このケースと今回を比べて「リコールと回収情報の周知が手ぬるかった」と指摘する声は少なくない。TDKは「新聞広告などで周知に努めてきた」とするが、長崎市の火災以外にも全国でこれまで46件の事故が起きていた。
一方、公的機関を通じたリコール製品に関する周知活動も心細い状態で、前出の「リコール情報サイト」の認知度も12年10月の内閣府のアンケート調査では8割以上がその存在を知らなかったという。
リコール製品の周知や回収をめぐり、消費者問題の専門家らはこう指摘する。
「製品がリコール対象となって回収の必要が出てきた場合、メーカーは新聞広告ばかりでなく、もっときめ細かな広報態勢を敷くべきだ。家電についても、メーカーと販売店が知恵を出し合ってどの製品を誰に売ったか分かるような態勢作りが今後必要になってくる」
ネット上では「高齢者を預かる施設なら、使用している家電がリコール対象かどうか、定期的に確認すべき」「製造元が一流メーカーということで過信は禁物」といった声もでている。