アメリカンとUSエア合併の影響 マイレージはどうなるのか

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   経営再建中の米航空3位、アメリカン航空の親会社AMRと、5位のUSエアウェイズは2013年2月14日、合併することで合意したと発表した。合併新会社の名称はアメリカンを引き継ぎ、56カ国で1日6700便以上を運航し、旅客輸送実績で米首位のユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスを上回る世界最大の航空会社が誕生する。

   国際的な航空会社の連合では、アメリカンが加盟している「ワンワールド」に入ることになり、同連合に加盟する日本航空にとっては米国を中心とした国際路線網の強化につながる可能性がある。

3陣営が世界規模で顧客の囲い込みを争う

   国際航空連合には、ワンワールド(12社)のほかに、全日本空輸やユナイテッドが加盟する「スターアライアンス」(27社)、米デルタ航空やエールフランスが加盟する「スカイチーム」(19社)の3陣営がある。各陣営はコードシェア(共同運航)やマイレージの共通化、チケットの共同販売などで連携を強め、世界規模で顧客の囲い込みを争っている。

   アメリカン航空はワンワールドに所属する一方、USエアはスターアライアンスに加盟しており、合併新会社がどちらの陣営に入るか、日本国内でも大きな関心を呼んでいた。仮に、合併新会社がスターアライアンスに加盟し、アメリカン航空がワンワールドを離脱するようなことになれば、ワンワールドには中核となる米大手がいなくなり、勢力の弱体化は避けられなくなる。航空業界にとって米市場の存在は大きく、アメリカン脱退となれば、ワンワールドに加盟する日航の痛手は計り知れないところだった。

USエアはアメリカンが手薄だった米東海岸の路線に強み

   アメリカンは2011年11月に米連邦破産法11条(日本に民事再生法に相当)の適用を申請して経営破綻した。ワンワールドの中核だったアメリカンの混乱は陣営全体にも微妙な影響を及ぼしたが、今回のUSエアとの合併新会社の新たな加盟で陣営の態勢が強化されるとの期待が高まっている。

   実際、USエアはアメリカンが手薄だった米東海岸の路線に強みをもっており、日航をはじめワンワールド加盟社にとっては、乗り継ぎ便や共同運航の拡充などにつなげられる。2010年1月に会社更生法の適用を申請し経営破綻した日航をめぐり、アメリカンとデルタが争奪戦に名乗りを上げた際、日航はアメリカンとの提携の道を選んだ。その後、アメリカンも経営破綻し、日航は一時、衝撃を受けたが、「今回のUSエアとの合併で、結果的にはよい方向に転びそうで、胸をなで下ろしているのではないか」(航空業界関係者)。

全日空への影響は軽微?

   一方、日航の最大のライバルである全日本空輸が加盟しているスターアライアンス側から見れば、USエアの離脱で勢力はやや減退し、全日空がUSエアと結んでいるコードシェアなどの提携も解消は避けられない見通しだ。「全日空への影響は軽微」(関係者)との見方もあるが、今後は太平洋路線でアメリカン・日航連合とユナイテッド・全日空連合の顧客争奪戦が激化するまのは確実だ。

   当面、日航、全日空の経営への影響は少ないとみられるが、世界の航空業界は、今回の合併のように巨大航空会社(メガキャリア)化の一方で、格安航空会社(LCC)が台頭し、競争条件は複雑化している。日本という成熟市場を二分する両雄が、今のままでいられるとは限らないといえそうだ。

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