「SNEP」(スネップ)という耳慣れない言葉が、インターネット上で話題になっている。
NEET(ニート)につぐ新たな概念とされ、具体的には
「20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚者。就業していない。家族以外の人と2日連続で接していない」
という人々のことだ。
ゲームの利用頻度は「特別に多いとはいえない」
玄田有史・東大教授らが、2012年半ば頃から提唱してきた造語で、「Solitary Non-Employed Persons」(孤立無業者)の頭文字をとったものだ。ここでいう「一緒にいた」とは「普通に会話が出来る距離にあった」ことを指し、電話やメールほかインターネットでの交流などは含んでいない。ある特定の2日間を選び、一緒にいた人を聞いた結果から、「孤独度」を調べる。
スネップは総じて社会から距離を置いた生活を送っていて、
「テレビの視聴時間等や睡眠時間が他の無業者に比べて長く、家族を含めた誰とも一緒にいない一人型の孤立無業ほどその傾向が強い」
「電子メールなどインターネットの利用も少なく、パソコンゲームやテレビゲームの利用頻度も特別に多いとはいえない」
「過去一年にスポーツ、旅行ボランティアなどを一切経験していないことも多い」
といった特徴が見られるという。
どんな人がなりやすいのかというと、性別は男性で、年齢は30代以上、学歴は中卒ないし高校中退といった要素が挙がっている。男性には「自立するべき」というより強い社会規範があり、それがかえってプレッシャーになってしまうのだという。また、学歴については、専門学校卒がいちばんスネップになりにくいということがわかっているが、高卒と大卒、院卒の間に大きな差は見られない。
一方で、出身家庭の世帯所得はあまり関係がなく、どのような家庭からでも生じる可能性があるそうだ。
「ニート―フリーターでもなく失業者でもなく」「希望のつくり方」などの著書をもち、「ニート」という言葉を日本で定着させた玄田有史・東大教授らが、2012年半ば頃から提唱してきた。
玄田氏らが総務省統計局「社会生活基本調査」匿名データを使って集計したところによると、スネップは2006年時点で100万人を超え、過去10年間に45万人の増加を見せているという。
「そろそろ年齢的に俺もニート卒業か」「「ぼっち+ニートか」
「すねかじりのプロのおまえらにぴったりじゃねえかw」
「そろそろ年齢的に俺もニート卒業か」
「よくわからんけどなんか新しいから、明日から職業欄にはSNEPって書いてみることにする」
スネップはさっそく2ちゃんねるなどで、「ニート」にかわる無職の呼び方として受け止められ、騒がれている。
ニートについて、厚生労働省は「15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者」と定義しているが、ネットでは働く気のない引きこもりとしてとらえられがちだ。
正しい意味でのニートとスネップの違いはというと、対象となる年齢が拡大していることに加え「社会との関わり」に注目している点にあると言える。条件の中に「家族以外のだれとも2日続けて接してない」とあるのがポイントだ。
「ぼっち+ニートか。 ぼっちのニートは、そうでないニートより、大分状況が悪いわな」と心配する声も出た。実際、玄田氏らは論文で「社会との接触がない状況が長く続くうちに、当初は保有していた個人的なネットワークも失われていく。もともとは対人関係形成能力のあった無業者でも、テレビや睡眠などで個人で閉じた状況を続けるうちに、その状態が惰性となって、働く意識や行動を萎えさせていく悪循環も懸念される」と警鐘を鳴らしている。