営業的には「打者」路線の方がよい?
大谷はドラフト指名されたとき、大リーグ行きを夢としていた。事実、複数の大リーグ球団から誘われていた。
つい最近、日本駐在の大リーグ関係者筋からこんな話を聞いた。
「大リーグの各球団が大谷君を評価したのはバッターとしてですよ。天性の打撃センスを持っている。柔らかい打法だから打率は計算できる。さらにホームランも打てる。足もあるし肩も優に100mを投げる。打者として有望だ。160km/hを投げる投手は米国にはゴロゴロいる」
だれもが大谷快速球に目を奪われていたが、野球の本場は狙い目が日本と違っていたようだ。日本ハムもそれを知っていたのだろう。
日本ハムとしては1週間に一度登板する投手より、毎試合出場する打者の方が観客動員につながる営業面も考えているに違いない。リーグ有数の選手に成長した糸井嘉男外野手をオリックスに出したのも大谷を使う布石とも思われる。また、現在の日本球界には、打者のスターが少ない。長嶋茂雄、王貞治に代表されるように、球界が盛り上がるのは打者のスーパースターの存在。大谷はその資格を持っている。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)