交渉が妥結直前にならないと、個別品目の扱い決まらず
米国が自国の産業を保護するため、TPPでも砂糖と乳製品の関税を維持したいのに対して、豪州、ニュージーランドはTPPの原則に基づき、例外なく関税を撤廃するよう求めている。しかし、これら各国の利害が絡む関税撤廃交渉には時間がかかるのは必至で、TPP交渉全体の枠組みが妥結する直前にならなければ、砂糖や乳製品など個別の関税交渉も最終決着しないとみられている。
日本はこれまで世界貿易機関(WTO)協定に基づき、関税撤廃で地域経済や食料の安定供給に大きな影響が出るコメ、麦類、砂糖、乳製品などを関税撤廃の例外品目としてきた。仮にTPP交渉に参加した場合、日本は米国に対してコメなどを例外品目として認めるよう求める方針だが、「米国は農業分野で自国産業を保護する一方、他国には市場開放を求めており、日本の要求が認められる可能性は極めて低い」(農水省関係者)というのが現実のようだ。オバマ大統領の発言を外務省がどう「翻訳」し、安倍首相がどこまで前向きな「感触」として表明するのか否か。TPP推進派、反対派のいずれにとっても、日米首脳会談が今後の分岐点となるのは間違いない。