今まで原因不明として扱われていた
報道だけを見ていると、まさに今「殺人ダニ」のせいで死者が急増している、というような気がしてしまうが、実際には今回確認された死者はいずれも2012年夏~秋と少し前の話だ。「新型ウイルス」が突如として日本に襲い掛かってきた――というよりは、今まで原因不明として扱われていた症状の正体に、ようやく光が当たったというべきところらしい。病気自体の発生件数としても、
「あくまで比較論ですが、インフルエンザやノロウイルスのような多くの人が感染する病気と比べれば、極めて少ない」
と西條氏は話す。
「むしろ今回の発見で、今まで診断がつかなかった患者さんの状態がわかるようになった。これからの感染症対策には重要な発見です」
もちろん厄介な病気であることは間違いなく、対策をとることは重要だ。一方で西條氏は、
「『危ない』と言って過剰に、たとえば山などに出かけるのを取り止めるというのは行き過ぎです。涼しい時期には長袖を着るなど、『今までどおり』の対応で十分だと思います」
と、「殺人ダニ」におびえすぎないよう注意を促した。