「猫を殺せば野鳥救える?」――こんな報道に、ネットで猫好きたちが「発狂」している。
猫が野鳥を食べてしまうため、対策の必要があるという主旨だが、「殺すな」「ふざけんな!」などと怒りの声が相次いでいる。
「野鳥保護団体殺せば猫が救える」
朝日新聞(電子版)は2013年2月19日、「猫を殺せば野鳥救える? 野鳥保護団体『深刻な脅威』」と見出しを打った記事を掲載した。
それによるとアメリカで猫に殺される野鳥が年間24億羽にのぼり、深刻な脅威になっているとの論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された。これを受けて、野鳥保護団体が「すぐにでも対策が必要だ」と訴える一方、愛猫団体は「ネコを殺しても野鳥は救えない」と反発したという。
日本のネットでも、愛猫家たちが2ちゃんねるやツイッターなどに「ひどい!」「殺すな!」といった怒りを次々に書き込んでいる。
「ヌコ(編注:ネットスラングで猫のこと)をイジメる奴は悪い奴 」
「ぬこたんが危ない!!」
「何で全部猫のせいにするねん。意味わからん」
「これ以上の野暮はない!ふざけんな!(怒)」
「何これふざけんな。頭おかしい。猫の命何やと思っとるん」
「勝手なことばかりいってんじゃねえよ。猫も生き物だろうが」
中には「野鳥保護団体殺せば猫が救えるってことになる」といった過激な書き込みも見られる。
希少な鳥たちを絶滅させる大きな原因の1つとなっている
論文はアメリカの話だが、実は国内でもペットとして飼われていた猫が棄てられ、野生化・繁殖した野良猫、通称「野猫」の被害が深刻化している。沖縄の天然記念物・ヤンバルクイナは猫やマングースによって絶滅の危機に瀕していることはよく知られる。
また、小笠原諸島では、カツオドリやオナガミズナギドリ、そしてアカガシラカラスバトといった固有の希少な海鳥が、外来の野猫によって捕食される被害が相次いでいる。母島南崎の海鳥繁殖地は猫によって消滅寸前だったという。
もともと猫の住んでいなかった環境では野猫は「侵略的外来種」になってしまい、「希少な鳥たちを絶滅させる大きな原因の1つとなっている」わけだ。
こうした現状に、環境省、林野庁、東京都とNPOなどは一丸となって対策を進めている。ただし、殺処分には動物愛護団体の反対もあり、捕獲して東京の動物病院に届けて、ペットとして暮らせるよう手配しているそうだ。