「民主党政権の唯一の成果」とも言われた日本航空(JAL)の再建をめぐり、政権復帰を果たした自民党が攻勢を強めている。特に、公的支援を経た再上場を「競争環境をゆがめる」などと野党時代から問題視している西田昌司参院議員は、2013年2月18日の参院予算委員会で、上場前に行われた第三者割当増資を「第2のリクルート事件」と批判を展開した。
麻生太郎副総理兼財務・金融担当相も「(引き受け先に)出ている名前も、かなり意味深な名前がある」と同調し、JALの稲盛和夫名誉会長が創業した京セラが引き受け先に含まれていることを暗に批判した。
西田議員「再上場を当て込んだとしか考えられないんですよ!」
西田氏が問題にしたのは、11年3月15日にJALが取引先など8社に対して行った127億円の第三者割当増資。当時の1株あたりの金額は、10年12月に企業再生支援機構が出資した金額と同じ2000円で、12年9月の上場時の売り出し価格は3750円だった。単純に計算すれば、これら8社は出資額の2倍近い金額を手にすることになる。この増資の目的は「イベントリスクに対する態勢強化」だと説明されているが、西田氏は、
「要するに3500億円を政府が入れました、(企業再生支援)機構が。その(10年12月の)時点で債務超過は解消している。その後の(12年3月期の)決算では1800億円の利益を出している。まさにお金がいらない時に、イベントリスクがあるかもしれないからと言って、たったの127億円ですよ、なんのこれが『屁のつっぱり』になるかって話ですよ!言えばね。まさにこれは、再上場を当て込んだとしか考えられないんですよ!」
と、この増資がインサイダー取引にあたる可能性があると主張した。西田氏が「おかしいと思いませんか?」と煽ったのに対して、麻生氏は
「法律的には、間違いなく上場前ですから、インサイダーにはなりませんなあ。しかし、ただ…。おかしい」
と同調し、議場からは笑いも起こった。さらに、麻生氏は手元の書類に目を落としながら、
「と、みんな思わない人はいないと思いますよ?テレビ見ておられる方も、出ている名前も…、これは…、うん。なかなか、意味深ですなぁ。出ている名前も、かなり意味深な名前があると思いますよ。ここには」
と述べ、増資を引き受けた企業とJALとの関係について関心を示した。