「訴訟になれば、都が負ける」と懸念する声
ただ、都の訴訟リスクは「小さくない」(ある弁護士)。実は、都には銀行への外形標準課税という苦い思い出がある。石原慎太郎知事(当時)主導で2000年3月に都条例を制定し、都内の大手金融機関31社に対し、最終利益でなく、赤字でも一定の数値が出る「業務粗利益」を基準に法人事業税を課税したが、金融機関側の提訴で東京地裁、高裁で連続敗訴し、結局2003年10月に最高裁で和解が成立、都が金融機関側に計2344億円を返還したのだ。
今回、世論の支持は都に分があるとみられるが、銀行課税では都民の喝さいを浴びたものの敗訴しただけに、都庁内でも「一方的な契約解除で訴訟になれば、都が負ける」と懸念する声が聞かれる。
このため、都側も「現状の額では妥協の余地はない」と、強気を崩さないものの、最終的に52億円の東電の請求をどれだけ減らせるかの「条件闘争」になるとの見方が少なくない。