「補償金なしの中途破棄は認められない」
対する東電の立場ははっきりしている。今の随意契約は2018年度まで期間10年の長期契約だったため、東電側は「契約内容が不満だからといって、補償金なしの中途破棄は認められない」として、52億円を都に請求した。これまで都から購入していた電力分を、新たに調達するために増えるコスト(6億円×6年分=36億円)に、施設の維持管理や改修費用として電力代金に上乗せして支払ってきた積立金約16億円を足した金額という。
東電にすれば、他にも同様の契約があることから、補償金なしに一方的な契約破棄を飲めば、ドミノのように他の契約に波及することを恐れているとされ、「理解を得られるように真摯に努力を続ける」としている。
これに対し、都は2013年1月末、売却先公募の詳細を公式に発表し、「見切り発車」した格好だ。契約期間は4月からの2年間で、売却電力量を2013年度計約1億1678万キロワット時、14年度約計1億2065万キロワット時と見込む。2月22日まで公募し、入札を経て3月上旬に決める方針だ。
事態を複雑にしている大きな理由が、都と東電の契約に解約に関する規定がないこと。都側は「1年も前から丁寧に説明してきた。一方的解釈といわれている節があるが、決してそうではない」(2月12日の2者協議)と強気で、打開のめどは立っていない。