2013年は「着る」方向に?
毎日の記事によると、壇蜜さんは29歳でグラビアデビューした遅咲き。一時は葬儀学校で遺体の保存処理を学び、学費稼ぎのために銀座のクラブでアルバイトしたこともある。「どこか痛々しい……生きづらい時代を生きるアラサー女子共通の匂いがする」と鈴木記者は書く。
AKBなど少女系アイドルが席巻するグラビアの世界に突如現れた「おじさん向け」の「エロスの女王」。とはいえ各誌のグラビアやテレビでの取り上げられ方を見ていると、壇蜜さんの「エロスの女王」というキャラクターが強いせいか、どこも似たりよったりの感が否めない。あおり文句1つ見ても、「官能」「エロス」「限界ギリギリ」「袋とじ」といった調子で、写真も透けた衣類や乱れ流れる黒髪など、あまり代わり映えがしない。特に週刊誌ではグラビアは「売り」の1つなのに、それがこうも「横並び」になってしまっても良いものなのだろうか。
J-CASTテレビウォッチで「元木昌彦の深読み週刊誌」を連載中の、「週刊現代」元編集長・元木昌彦さんは、
「もちろん本来ならばどこも、独自に発掘した女の子を使いたい。しかしグラビア界には昔のような『この子は!』というタレントがここ1~2年いなかった。そこに壇蜜さんがちょうど出てきたから、飛びついてしまうのだろう」
と語る。毎週のように壇蜜さんがグラビアを飾る現状には、「雑誌の担当者も、どう変化をつけるか苦労しているのでは」。
芸能評論家の肥留間正明さんも、作り手の安直さに警鐘を鳴らす。
「テレビも雑誌も、最近はどこも『とりあえず話題になってるから使おう』という姿勢。やっていることも昔の趣向と変わらず、いわば作り手の企画の貧困さの中で受けている」
一方の壇蜜さんは、前述の毎日新聞インタビューの最後で今後について問われ、こうした疑問を見透かしたような、達観した答えを返している。
「みんなの思っている場所に帰っていきます。自分の意思は全くないです」