酔っ払いが一瞬でシラフになる「新薬」 米研究チームが実験成功、実用化なるか

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   米国の研究チームが、酒に酔った状態を瞬時に覚ます方法を実験し、成果を挙げた。2種類の酵素を混ぜてマウスに注射したところ、血中のアルコール濃度が急激に低下したとの報告だ。

   研究者たちは、将来はアルコールを解毒するために服用する飲み薬の開発につなげたいと意気込んでいる。

ビール中びん1本でアルコールは3~4時間残る

体内のアルコールを瞬時に分解できれば画期的
体内のアルコールを瞬時に分解できれば画期的

   酔い覚ましの研究成果は、米マサチューセッツ工科大学が所有する独立系の科学技術メディア「MITテクノロジーレビュー」が2013年2月17日に報じた。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校や南カリフォルニア大学など複数の教育機関の研究者がチームを結成。数種類の酵素を超微細なナノサイズのカプセルに詰め、機能的な酵素複合体の開発に取り組んできた。

   今回の実験では、2種類の酵素を入れた超小型カプセルをマウスに注射して経過を観察した。結果は、注射しなかったマウスと比べて血中アルコール濃度が急速に下がったそうだ。用いられた酵素のひとつ「オキシダーゼ」は、人体に有害な副作用をもたらす恐れのある過酸化水素をつくりだす。このためオキシダーゼを分解する別の酵素を見つけ、活用することが実用化に向けての課題と考えられる。

   アルコール健康医学協会によると、酔いが覚めるまでの時間は個人差があるが、体重約60キロの人がビール中びん1本(500ミリリットル)を30分以内に飲んだ場合、アルコールは体内に3~4時間とどまるという。これは日本酒に換算すると1合(180ミリリットル)、ワイン4分の1本(約180ミリリットル)に当たる量で、血中アルコール濃度は0.02~0.04%となる。酒量が増えれば濃度も高くなり、0.16~0.3%で強い酩酊状態、0.31~0.4%は泥酔状態とされる。実験段階だが、体内に摂取されたアルコールが瞬時に消えさるとすればまるで魔法といえるだろう。

   アルコールの大部分は肝臓で代謝される。研究者のひとりはMITテクノロジーレビューに、開発中の「新薬」は「まるで体内に数百万の肝細胞を持つような状態となり、アルコールの分解を助けるでしょう」と話した。

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