ロシアのウラル地方に落下した隕石の破片とされるものが、ネット上でさっそく売りに出され高値がついている。1個50万ルーブル(約150万円)というものもある。
さらに、1グラムあたり金の40倍近い6万6000ルーブル(約20万円)という試算も、アマチュアの天文愛好家から出ているという。
希少性から1グラム110万円と言う値段がついたものも
日本国内で隕石の輸入・販売をおこなう専門の業者によると、隕石はすべて「一点もの」なので、価格についてこれといった決め方があるわけではない。
種類や大きさ、希少性などが要素となるが、加えて重要なのは「来歴」がはっきりしていることだという。著名な「隕石ハンター」や学術機関によって、いつどこで見つかったかなどの「お墨付き」があれば、それだけ価格が上がる。そのため、いくらくらいになるかは「一概には言えない」と話す。
ネットを見ると、確かに1万円以下で買える隕石の破片もある。一方で、過去には月、それも人類未踏の場所からの隕石と認定されたものに、その希少性から1g110万円と言う値段がついたものもあったという。
隕石の落下地点で破片を探し集めて、こうした流通に乗せる人々のことを「隕石ハンター」あるいは「隕石コレクター」という。今回の落下地点であるロシア南部のチェリャビンスクにも、雪と凍結という悪天候にもかかわらず、すでに「一攫千金」を狙って大勢がつめかけている。
「破片は1グラム当たり6万6000ルーブル(日本円で約20万円)の価値がある可能性もある」――2013年2月18日付のロイター(電子版)では、アマチュア天文愛好家のこんな試算を紹介している。19日16時現在、地金の税込小売価格は1gあたり5136円(田中貴金属)だから、金の約40倍もの価値がありうるというわけだ。
また、隕石の破片の落下で家の屋根に穴が開いた女性は、1300ドル(約12万円)で隕石の買い取りを打診されたという。18日付のニューヨークタイムズ(電子版)によると、この女性は230ドルで売却した後にこのオファーを受け、「売ってしまったことを後悔している」と話したそうだ。
ネット上では「偽物」販売 現地警察がチェック開始
インターネット上でも、1個1万ルーブル(約3万円)から50万ルーブルで(約150万円)でロシア・チェリャビンスクの隕石を売るといった書き込みが出回り始め、「偽物」と指摘する声も出ている。19日付のノーボスチ・ロシア通信によると、ロシアの現地警察はこうした販売をおこなっている人物の特定をすすめるとともに、許可や証明書なしに売られている、素性のはっきりしない「隕石の破片とされるもの」を購入しないよう呼びかけているという。
先の専門業者も一般的な話として、組成の似た地球上で採れる石を隕石として販売する「悪いやり方をされるひともいます」と認めている。そして、隕石の購入にあたっては「自分の目でこれはと思ったものを買うという買い方も一つにはあるが、リスクを避けたいのなら、どういった経緯で入手され、売られているのかがわからないものは買わないほうがいい」とアドバイスしていた。