中国の影響力はあまり大きくない?
中国共産党指導部の「北朝鮮観」に変化が出ているとの指摘もある。「週刊現代」3月2日号は、党幹部のコメントを紹介。北朝鮮側が中国に核実験の通告をしたのが前日夜で、中国側が反対の意を示すと「前日に連絡したのだから、わが国の誠意をありがたく思うべきだ」と反発してきたと明かす。「こんな非礼な国が、どこにあるか」と、この幹部は怒り心頭だ。
一方、習近平総書記と金正恩第1書記はこれまでの中朝関係とは違って「冷めた関係」に変わったという。中国側は食料や重油などを毎年大量に支援しているが、北朝鮮はこういった援助を基に核を開発し、中国の警告に耳を貸そうとしない。これ以上支援し続ける理由がどこにあるのか、というわけだ。
とは言え、中国が一気に「反北朝鮮」に回ることは考えにくそうだ。前出の小原氏は、中国の最高指導部は、朝鮮戦争以来の「血で固めた盟約」で結ばれた中朝関係を裏切れば国内外で信用を失うと考えているという。それ以上に、政治的ライバルがこの「裏切り行為」を利用して政権の足元をすくうのを恐れているようだ。
小原氏は、北朝鮮が中国に全面的に従わないのは今に始まったことではなく、その影響力は、実際はあまり大きくないことをにおわせた。だが中国が「締めあげ」て北朝鮮が苦境に陥れれば、今度は北朝鮮軍が暴走して戦争に巻き込まれかねない。自分に火の粉が降りかかるのは避けたいのが本音だろう。