遠隔操作ウイルス事件の片山祐輔容疑者(30)について、精神科医の片田珠美さんが産経新聞サイトのコラムで、「モテなさそう」などと書いて、ネット上で物議を醸している。片田さんは、「非モテの悲哀には共感しており、めげずに恋愛も頑張ったらいいと言いたかった」と説明している。
「世の『非モテ男』に捧ぐ」
産経のコラム「精神科女医のつぶやき」は、2013年2月14日の23回目がこんな刺激的なタイトルになっている。
サイトでは逮捕前の顔写真まで付ける
コラムを書いた片田珠美さんは、ツイッターのアカウントによると、大阪市内で精神科医をしている。
この日のコラムでは、文中で「容疑者の男」としながらも、逮捕前の顔写真を付け、そのキャプションには片山容疑者の名を挙げており、片田さんは、「モテなさそうというのが第一印象」と文中に書いた。さらに、iPS細胞を使った手術をしたとウソをついた「iPS騒動男」についても、「モテそうになかった」と指摘した。「彼が性愛的に満たされていたら、虚言によって自己愛や自己顕示欲を満たそうとするようなことはなかったのではないか」とも言っている。
片田さんは、「モテないから反社会的行為に走るというのはあまりにも短絡的」と断り書きは入れた。しかし、モテることは、男性の存在価値に関わる一大事のようだと、コラムで主張している。
例えば、バレンタインデー粉砕デモをするのは、「モテない男の恨みつらみ」に感じられ、AKB48が成功したのは、恋愛禁止で非モテの男の子をつなぎとめたからだと指摘した。
自らについては、「『精神医学界の沢尻エリカ』と自称するほどの美貌」だとして、自身も同じような悲哀を味わってきたから、非モテに親近感があると書いた。自らの悲哀とは、手編みのセーターは似合わないと若いときに酒の席で言われたといったことだそうだ。
「非モテの悲哀には共感できると言いたかった」
片田珠美さんのコラムが出ると、ネット上では、「酷すぎる」「何でここまで言われるんだよ」「またレッテル張りか」といった声が渦巻いた。モテないから事件などを起こしたとも受け取られかねないという非難だ。また、産経新聞に対しても、このコラムを掲載したことに批判が出ている。
これに対し、片田さんは、モテないからというのは短絡的だとコラムで触れたとして、「こうした批判は、誠に心外です」と取材に答えた。
「非モテで悲哀を味わうことは共感できることで、大変だけど、それにめげずに恋愛のアプローチも前向きにやっていかないといけないということです。モテない男を糾弾したりバカにしたりしているわけでは、決してありません」
片田さんは、以前のコラムで「お笑い系」と書いており、このコラムもシャレのつもりで書いたものだと説明した。「精神医学界の沢尻エリカ」というのも、シャレだという。
手編みのセーターが似合わないのは悲哀だというのは、たとえ美人であっても損なことはあり悲哀も味わうと言いたかったとした。それを言うために、「沢尻エリカ」のシャレを持ち出したというのだ。
コラムに載った片山容疑者の写真は、産経サイト側の判断だとしたが、「問題があったとは考えておりません」と取材に答えた。ただ、産経の夕刊に載った同じコラムには、写真は使われていないとした。
産経新聞社の広報部では、取材に対し、「コラムの内容に関することについてはお答えできません」とした。片山容疑者の写真使用については、「当社の編集判断ですが、編集に関することについてはお答えできません」とコメントしている。