富士通は2013年2月7日、国内外で全従業員の5%に当たる9500人の削減や、「システムLSI」と呼ばれる半導体事業を切り出してパナソニックの同事業と統合する新会社を設立することを柱とするリストラ策を発表した。
リストラ費用が1400億円超とかさむため、最終損益が2013年3月期に950億円の赤字に転落するとの見通しも併せて発表した。最終赤字はリーマン・ショックが直撃した2009年3月期以来、4年ぶり。
官公需をがっちり捕らえて黒字をキープする「優等生」
電機業界では最近、シャープやソニー、パナソニック、NECの苦境が大きく伝えられた。こうした中でも富士通は官公需をがっちり捕らえて黒字をキープし、どちらかと言うと「優等生」の風情すらあったが、大規模な人員削減に踏み切らざるを得ない内実にあったことが示された格好だ。
ただ、今回の富士通のリストラは半導体部門が中心となる。つまり、半導体が富士通の足を引っ張ったわけだが、それだけ、日本の半導体産業の構造問題が深刻ということ。優等生のはずの富士通でもそれが露呈したのだ。
日本の半導体産業はかつて世界を席巻し、1980年代後半には「日米摩擦」を引き起こすほど有力な事業となり、電機各社はこぞって開発・生産に取り組んだ。
しかし、韓国や台湾企業の台頭で風景は一変する。さほど技術力がなくても生産できることから、思い切った投資で大量生産する韓台企業の躍進によって市場は供給過剰状態に陥った。価格低下が進んだことなどから、日系の「日の丸半導体」は軒並み採算が悪化した。