すっかり影を潜めていた松坂大輔が2013年2月10日、クリーブランド・インディアンスとマイナー契約で合意した、と米国のメディアが一斉に報じた。プライドをかなぐり捨てての再出発の決め手は何だったのか。
キャンプイン寸前にインディアンス入り決まる
松坂は日米の複数球団から誘われていた。日本で熱心だったのはDeNA。地元の横浜高出身ということもあり、高額条件を考えていたようだ。大リーグではニューヨーク・メッツ、フロリダ・マーリンズらも名乗りを挙げていた。
インディアンスとの契約で明らかにされているのは、メジャーに昇格したときの条件。その場合、年俸150万ドル(約1億4000万円)となる。さらに投球イニングや先発登板回数をクリアすれば、出来高払いとして250万ドル(約2億3000万円)が上乗せされるというものだ。
ボストン・レッドソックス時代の11年6月に右ひじを手術。昨年カムバックしたものの、惨めなピッチングに終わり、6年契約の終了とともに浪人状態となった。大リーグ復活を目標に、今年に入って1月下旬からロサンゼルスでトレーニングをしている。
インディアンスのキャンプには「招待選手」として参加する。ファーム契約の選手としては好待遇であることが分かる。
今回の契約には3つのポイントがある。
第1はインディアンスのテリー・フランコーナ監督がレッドソックス時代の監督だったことだ。07年にワールドシリーズを制したとき、松坂は15勝を挙げ、フランコーナ監督を男にした。「ティート」(フランコーナの愛称)「ダイスケ」と呼び合うほど親しい。
インディアンスは昨年、68勝94敗でア・リーグ中地区4位。投手陣が弱く、今シーズンも先発5人のうち3人までしかメドが立っていない。4、5番目をつくることが急務となっている。そこでキャンプインぎりぎりの時点で松坂取りに勝った。
第2は契約条件の中身。メジャー昇格の契約変更とともに、家族とのことがあった。松坂の自宅はボストンにある。クリーブランドから遠征でボストンに行ったとき、自宅から球場へ通ってよい、という内容が含まれているという。
通常、遠征先では指定されたホテルでの宿泊となる。それを帰宅OKとするのは特別待遇といっていい。家族と会えるのはボストンだけだから、松坂にとってこの条件は大きい。