東京・秋葉原の家電量販店「エディオン秋葉原本店(旧石丸電気本店)」が、2013年3月20日をもって閉店することとなった。「石丸電気」時代から数えて、約70年の歴史に幕を閉じる。
かつては「電気街」という名前の通り、家電や電機部品などを販売する店がひしめき合っていた。しかし近年はアニメ、ゲーム、アイドル、メイド喫茶などのイメージが定着しつつある。
「業績改善されず、長期的な営業続けるのは不可能」
石丸電気は1945年3月に創業し、以来秋葉原の中心的な家電量販店として知られてきた。PCパーツや修理の受け付け、音楽ソフトの販売、買い取りなど細かく分野ごとに店舗が分かれており、最盛期には秋葉原だけで15店舗も展開していた。
しかし秋葉原周辺の家電販売の競争の激化や、2005年にはヨドバシカメラの大型店舗がオープンしたこともあり業績が悪化、06年に家電量販店チェーン「エディオン」との業務提携が発表され、08年に完全子会社化された。09年11月に関東での店舗の名称が「イシマル(ishimaru)」に統一、さらに12年10月には全ての店舗の名称が「エディオン」に統一され、ついに「石丸」の名前が秋葉原から消えた。
以後、石丸電気本店は「エディオン秋葉原本店」、石丸電気1号店は「エディオンAKIBA」として営業していたが、2店舗を「エディオンAKIBA」に統合、「秋葉原本店」はシャッターを下ろすことが決まった。
エディオンの広報部によると、今回の閉店は「これまで店舗の改装や再編で経営の立て直しを図ってきたが業績が改善されず、秋葉原地区での家電販売の競争が激化し続ける中、長期的な営業を続けていくのは不可能だと判断したため」だという。
アニメ、ゲーム、アイドルグッズ、アダルト関連グッズ販売店が目立つ
電気街の象徴的な存在とも言える「石丸電気」の閉店はインターネット上で大きな話題となり、「秋葉原と言えば石丸電気だったのに…」「もうすっかり家電の街じゃなくなってしまったな」などとささやかれている。
秋葉原はもはや「電気街」とは呼べなくなってしまったのか、実際に秋葉原駅の電気街口を出て街並みを散策してみた。
駅前では平日の昼間ということもあってか、買い物客よりは、スーツ姿のサラリーマンや、就活生と思われるリクルートスーツ姿の若者が多く歩いていた。
電気街のメインストリートである「中央通り」は、「アニメイト」「とらのあな」といったアニメ、ゲームなどのグッズ、アイドルグッズ、アダルト関連のグッズ販売店が目立ち、中国・韓国人観光客を狙った免税店も乱立している。AKB48劇場が入居するドン・キホーテ秋葉原店もこの通りにある。
かつては電子部品や無線のパーツなどを販売する店舗が多数入居していた雑居ビル「世界のラジオ会館」も、漫画・同人誌やフィギュア、プラモデルなどの販売店がほとんどになっていた。
一方、秋葉原駅のガード下ではまだまだ昔ながらの電気街らしさが味わえる。オーディオ関連の部品やPCのパーツ、アマチュア無線の機器などを販売する専門店が集う「秋葉原電波会館」「ニュー秋葉原センター」などが健在。駅ビル「アトレ」と「電波会館」の間の細い通りも「部品市場」という名前で、電機部品を販売する小さな店が立ち並ぶ商店街のようになっている。
中央通りと外堀通りの間の細い道、通称「DOS/V通り」も、メイドカフェが増えている中、ジャンク品を販売する小さな店舗も頑張っている印象を受けた。実際、大型の量販店や免税店は閑散としていたが、小さな店舗の方が客入りが安定しているようにも見えた。
すっかり「オタク文化」が席巻する街と化したとは言え、「電気の街・秋葉原」はまだしぶとく生き残っている。