「できるだけ多くの人を傷つけてやろうと思った」 グアム日本人死傷犯人は「通り魔」だった

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   米領グアムで、日本人を巻き込んだ通り魔事件が発生した。観光客でにぎわうショッピング街に男が車で突っ込むと、降りた後にナイフを振り回し、次々と通行人を刺したのだ。

   日本人観光客が7割を超えるというグアムでの、予期せぬ凶行。地元でもショックは大きい。

最初は車で、次にナイフで…

2~3月は多くの日本人観光客が訪れる
2~3月は多くの日本人観光客が訪れる

   J-CASTニュースがグアム警察に取材したところ、事件が起きたのは現地時間2013年2月12日の22時20分ごろで、場所は島の中心部タモン地区の繁華街。地元出身の21歳の男が車を暴走させて7人をはねたうえ、ショッピングセンターにあるスーパー「ABCストア」の壁に激突した。男は車を降りると、今度はナイフを手に周辺にいた人に襲いかかった。

   男は拘束されたが、2月13日午後までに14人が死傷、うち日本人観光客は10人に上る。このうち28歳と82歳の、いずれも日本人女性が亡くなった。男の身元の詳細や動機についてグアム警察にたずねたが、回答は得られなかった。

   地元メディアも今回の事件を大きく伝えている。地元紙「パシフィック・デイリーニュース」電子版2月13日付の記事によると、この日裁判所の冒頭手続きで治安判事による容疑者の審理が行われた。その際に出された法廷文書の内容を、記事中で一部公開。容疑者は警察に「最初は車で、次にナイフで、できるだけ多くの人を傷つけてやろうと思った」と話したと報じた。同紙サイトに掲載された関連映像や写真には、拘束されて地面に座らされている容疑者の姿や、現場にかけつけた消防車や救急車、付近で不安そうに見つめる人々など生々しい様子が映しだされている。

   事件現場周辺は大型ホテルや免税店、ショッピングセンターが集まるグアム観光の中心地だ。事件が起きた22時過ぎも営業中の店が多く、人通りは途絶えていなかった。グアム政府観光局東京オフィスに取材すると、担当者は「ちょうど夕食を終えて、帰る前に少し散歩をしたり買い物を楽しんだりしようかという時間帯。このあたりは、多くの人でにぎわっていたのではないでしょうか」と話す。大勢の人が巻き込まれて死傷するような通り魔事件は「初めてです」と、驚きを隠さない。

「危険だから入って」と観光客を招き入れた地元店も

   グアムは日本人にとってリゾート観光のメッカ。政府観光局によると、観光客全体の約75%は日本人で、2000年代初めは年間110万人が訪れていた。その後、2008年の「リーマンショック」による景気低迷や2011年の東日本大震災の影響で一時82万人にまで減少したが、2012年は93万人に回復した。

   日本の真冬にあたる2月は、温暖な気候を求めてやってくる日本人が少なくない。「3月になると春休みに入るので、例年これからの時期は訪問者数が増える」そうだ。集客が見込めるタイミングで起きたショッキングな事件だけに、「観光への影響はある程度覚悟しなければならないでしょう。この先どうなるか」と不安が拭えない。

   ショッピングセンターでは事件発生時、外にいた観光客に対して「危険だから中に入って」と招き入れた店や、万一の事態を考えて観光客をホテルまで送り届けた親切な店員もいたそうだ。穏やかな人柄の地元民に、本来は夜道を歩いても安全な地域。無縁だったはずの凶悪事件発生に、現地の人たちも大きなショックを受けている。

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