大気汚染が日に日に深刻化している中国で、日本製の空気清浄機が売れに売れている。2013年1月の販売台数で、前年同月比2~3倍増えている。
パナソニックやシャープは現地工場の生産体制を増強しているほか、春節の休みを利用して日本を訪れた中国人観光客も、家電量販店で空気清浄機を買って帰る人が増えているようだ。
赤や金の「中国モデル」が売れている
中国ではここ数年、冬から春にかけて、呼吸器系疾患を引き起こすとされる微小粒子状物質「PM2.5」が大量に浮遊。大気汚染を引き起こして社会問題となっている。今シーズンはそれがかなり深刻だ。
中国での空気清浄機の売れ行きは、そういった背景もあって「長期的なトレンドとして伸びています」(シャープ)という。
シャープの空気清浄機は、2012年1~12月の販売台数で前年比約2倍増。13年1月は前年同月に比べて約3倍と急増した。上海工場ではすでに増産体制に入っている。
パナソニックは1月の販売台数で、前年同月比2.2倍増となった。広東省にある工場の稼働率を1月から1.5倍に引き上げた。「販売が増えた分をまかなう」と話している。
ダイキン工業も、1月に3.6倍と伸ばした。集塵効率の高さと、独自の「光速ストリーマ」技術によって、花粉やカビ、ダニのフンや死骸などのアレル物質やホルムアルデヒドなどの有害物質を除去するモデルが売れ筋。カラー展開も日本では白や茶が好まれるが、同社では中国モデルとして赤や金、銀を取り揃えたことが奏功。「赤や金モデルが売れています」という。現地の生産体制については「状況を見ながら検討していきたい」と話している。
一部の報道によると、中国の空気清浄機の市場規模は2010年の約50万台から倍増し、12年で100万台程度と推計されている。日本製(3社合算)のシェアはそのうちの約4割を占める。
大気汚染が一段と深刻になった1月以降は売れ行きが加速。日本製は花粉やアレル物質の除去、壁やカーテンについたペットやたばこの臭いの除去に加湿機能と、高機能なこともあって、ニーズはますます高まっているようだ。